阿部和重『インディヴィジュアル・プロジェクション』

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インディヴィジュアル・プロジェクション (新潮文庫)
阿部 和重
新潮社
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 新作『ピストルズ』が各所で話題になっているが、あれだけ長そうな小説を読む気力が湧かなかったため、ブックオフで100円で回収した旧作『インディヴィジュアル・プロジェクション』を。最初「個人的になんかやって、投企したりする実存小説なのか?」とタイトルから連想したが、途中でロリコンがでてきたあたりから「もしかして作者の個人的な趣味が、このロリコンに投影されてるってことじゃねぇよなぁ?」と不安になりつつ読んだ。全体を通しての読後感を言えば「カッコ良い小説だなぁ……」という一言で、阿部和重という作家は顔もカッコ良い風だし、こういうカッコ良い小説が書けてズルい!





 しかし、発表されたのは97年ってことで、13年も前の小説なんだなぁ。主な舞台は渋谷となっており、渋谷の風俗・文化なども描かれているのだが、この小説に描かれた渋谷にあんまりリアリティを感じないのであった。たとえば、中高生がオッサン相手の売春クラブで働いて、ドラッグ・パーティをやるくだりなんか、全然今っぽくない感じがする。いや、そういうのはもしかしたらあるのかもしれないけれど、なんか流行りじゃないよなぁ。秋葉原近くの汚いアパートに数人の若者が集まって全員無言でツイッターをやってる風景とかが「今(なう!)」っぽい。その当時の渋谷を知らないからなんとも言えないのだが、日常的に暴力が溢れている風景、というのは今は『闇金ウシジマくん』のなかにしかなくて、それすらも劇画的なリアリティのなかにしかないような、そんな気がした。





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