松本零士『クイーンエメラルダス』

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 この漫画を読み、松本零士が「ロマンSF漫画の大家」であったことを知る。「やたらめったら自作がらみの訴訟を起こす人」というだけではなかったのだ。物語は自作の宇宙船で宇宙の旅にでようとする少年と、宇宙最強の船「クイーンエメラルダス」に乗る謎の女、エメラルダスとの出会いから始まる。エメラルダスの旅の目的は誰も知らない。少年が宇宙を目指す理由も、とりあえず伏せられたままだ。少年の旅は行き当たりばったりのようにも見える。いわば「でも、やるんだよ」の精神しかない。そこにエメラルダスは共感を覚え、少年の手助けをしようとする。『銀河鉄道999』におけるメーテルは、鉄郎にとって「究極の母性」であったが、ここでのエメラルダスは「よき理解者」であり、ある種「究極の恋人」として描かれているように思われる。





 しかし、物語のなかで最も素晴らしいのは、そこで描かれた各種の挫折である。少年が旅を続けるなかで、さまざまな挫折した人々(少年のように旅をすることができなかった人々)と出会うことになる。それらは皆、男性だ。ここに「男は皆大志を抱かなくてはならない」というテーマが見え隠れする。しかしながら、それを実現できるのはごくわずかしかいない。実現できなかった男たちは少年に自分の夢を託したり、生き方を授けたりしようとする。ここにまた別な共感が生まれる。ここがすごく泣ける。とくに「完全な宇宙船」を設計しようとする科学者の少年と、主人公の少年の出会いの場面は熱く美しい。



こんな大研究所なんておれにはオモチャにしか見えないよ


設計図だけの宇宙船なんてただの絵だ


こんなものじゃ宇宙はとべない


宇宙の海はほんものだ あそこにほんとうにあるんだぞ


絵にかいた船ではとぶことはできないよ


だがおれの船はあそこをとべるぞ ちがうかラメール?






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