ヤマシタトモコの漫画を読む

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HER(Feelコミックス)
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ヤマシタ トモコ
祥伝社 (2010-07-08)


ドントクライ、ガール (ゼロコミックス)
ヤマシタ トモコ
リブレ出版 (2010-07-09)

Love,Hate,Love. (Feelコミックス)
ヤマシタ トモコ
祥伝社 (2009-09-08)

ひばりの朝 1 (Feelコミックス)
ヤマシタ トモコ
祥伝社 (2012-08-08)

ひばりの朝 2 (Feelコミックス)
ヤマシタ トモコ
祥伝社 (2013-07-08)
知り合いの編集者より「ムカつくから読んでみて!」的なレコメンドをされ、ちょっとしたリサーチを兼ねてヤマシタトモコの漫画を読む。こういう漫画ってなんでしょうね、女性をメイン読者として据えているけれども、少女ではない、青年少女漫画、といったところなんでしょうか。『Her』、『ドントクライ、ガール』は2011年に『このマンガがスゴい!2011 オンナ編』で1位・2位選出されている作品。総じてヤマシタ作品には、女性性に自身が持てない、あるいは強い自己批判のまなざしが内在されているため、女性として上手く生きられない女性が描かれる。これは、今時の(?)言葉で言うなれば「こじらせ女子」の漫画だ。登場人物たちは、女性としてダメである、というセルフ・ツッコミが頻出させつつ、ただし、女性性に問題意識を持たない他の女性に対しては「どうして、問題意識を持たずにいられるのか?」という批判的な態度を(裏では)とる……、これが現実にいる女性なら「鬱陶しい!!」と近寄りたくない存在であるだろう。

ただし『ひばりの朝』は、ちょっと異色の作品である。この作品では主人公自体が「こじらせ」ているわけではなく、むしろ、自らの意志とは無関係に女性性が他者に向けて発信されてしまっていることが問題化されている。他者は、好き勝手にメッセージを解釈してしまう、とはまるでコミュニケーションの本質でもあるのだが『ひばりの朝』では、受信者が主人公に対して、悪意も持って返答する、これが物語の大きな鍵となる。そこでの悪意とは例えば、女性が普通に生活をし、例えば、電車に乗ったり、街を歩いたりしているあいだに、まったく知らない人から、性的な目線を投げかけられる問題とも比べられるだろう。あるいは、暴力的に女性が犯した犯人が「向こうのほうから誘ってきたんだ」とか供述したり、その暴行事件を見聞きした第三者が「あんな格好していたら、レイプされるのも当たり前だ」と批判したりする、そうした種類の悪意である。はっきり言って、気持ちよく読める話ではない。

短編集『ミラーボール・フラッシング・マジック』は、ヌルい山本直樹みたいな短編があったりして、これまた読むのがツラいのだが(あと絵があんまり上手じゃないのがそもそも……)、ある程度まとまってヤマシタ作品を読むと、これがある種の女性に好ましく受容されているのもなんとなく理解できる。女性のあいだでどんな風に評価されているのかリサーチしているのかわからないけれど、かつてだったら魚喃キリコとかを好んで読んでた類いの方々が読んでいそうな気がする。奇しくも『ミラーボール・フラッシング・マジック』の帯に、花沢健吾が寄せているコメント「男が読むべき漫画です」とは、ちょうど魚喃キリコの作品に対しても言われていたことではなかったか。

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