マルティン・ルター 『マリヤの讃歌 他一篇』

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マリヤの讃歌 他一篇 (岩波文庫)
マルティン ルター
岩波書店
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日本で世界史の勉強をしていたら、宗教改革という言葉はルターという人物と強く結びついて覚えているハズだ。けれども、実際にルターの思想が、旧来のローマ教会の思想とどうちがっていたのかを知っている人は多くない。もちろん一般人的にその違いを知っていてメリットがあるか、というと特にないんだけれども、ものすごく大雑把にいって「儀式によってなにかが救われる、善行を積んだり、厳しい修行に耐えたりすれば救われるのである」という考えから「いや、違う、儀式はあくまで象徴的なものであって、救われるかどうかは信仰心次第なのだ」というのがルターの思想であるようだ。

信仰ありきのルターの思想については、本書の表題作である「マリアの讃歌」よりも「死の準備についての説教」のほうがわかりやすいか。死の直前におこなわれる秘蹟の儀式は、信仰を導く象徴なのであって、信仰がなければ秘蹟の儀式によって救われることはありえない、というようなことがハッキリ書いてあって、なるほど、ルターという人は「心の人」なのかもと思った。これとは別に、ルターはアリストテレス主義というか、理性によって神を把握するアプローチを諦めた人でもある(とはいえ、霊魂と心と身体との説明を読むと、旧来のアプローチから完全に抜け出しているわけではないと思うんだけれど)。

信仰によってのみ救済がある、とはかなりスピリチュアルな感じもして、ルター、っていうか宗教改革は16世紀のニューエイジだったのでは、とも思った。科学で満たされないものが、スピリチュアルなものによって満たされるという事例は、今日でもいろいろと見られるわけで、極端な話をすれば、オウム真理教だって、そういう性格はあったんだろう……。

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