伊丹十三 『ヨーロッパ退屈日記』

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ヨーロッパ退屈日記 (新潮文庫)
伊丹 十三
新潮社
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「テレビが面白くないから映画のDVDを借りてくる」という習慣ができた。それで最近、伊丹十三の監督作品を集中的に見ていたのである。『マルサの女』、これは変拍子のテーマ・ソングが最高ですね〜、『たんぽぽ』、面白いですね〜……といった具合にはまっていたのだがエッセイも面白くて、伊丹十三ってホントにスゴかったんだな、とひどく感心してしまった。役者としては『家族ゲーム』や『北の国から』に出演していたのを見ただけだけれども、大変カッコ良い人だな、と思った(特に『北の国から』出演時、田中邦衛と比較対象にあがってしまうのだけれど、そりゃあ伊丹十三のほうがカッコ良いに決まっているのである)。

『ヨーロッパ退屈日記』は60年代の外国暮らし経験を元にしたエッセイだが、時に辛辣で、時にナンセンスで、ほとんど嫌味に近い「ホンモノ志向」が展開されているところが良い。こんな具合である——「やっぱり手袋はペッカリがいいでしょう。コートは、やっぱりカシミヤがいいでしょう。眼鏡はツァイス、ライターはダンヒルの純銀(……以下略)」。初出から半世紀ほどが経ち、日本でも「ホンモノ」に触れられるようになった今なお、面白さは色あせていないのではないか、と思われる。嫌みに近いが、嫌味ではないのは、そこに文化へのリスペクトというか、敬愛を感じるからなのかも。しかし、カッコ良いよなあ……。天才は時代を超えるんだな、と思った一冊。

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