菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール / 戦前と戦後

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戦前と戦後
戦前と戦後
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菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール
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菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラールの『戦前と戦後』を聴く。また世相的にすごいタイミングでのリリースとなったな、と思ったが、菊地成孔自身が立ち上げたレーベルの第一弾ということである。ペペ・トルメント・アスカラールは前作『New York Hell Sonic Ballet』はイマイチ乗り切れなかったのだが、これは近年の菊地成孔のなかでも最も優れた一枚ではないだろうか。初期のクセナキスのようなリズム・クラスターが強烈な「エロス+虐殺」、文字通り呪術的にダンサブルな「Voodoo/Fruits&Sharks」といったカラい楽曲も素晴らしいし、ヴォーカル曲の甘さと、菊地成孔の諧謔と風刺の効きまくった歌詞のバランスがとても良い(とくに標題曲『戦前と戦後』の歌詞は『普通の恋』ぐらいグッとくる……)。

キップ・ハンラハンの「CARAVAGGIO」のカヴァーにはキップ本人が朗読で参加。その内容は『戦前と戦後』というタイトルに合わせたもののようなのだが、なんか「戦前の沖縄はヘルシーな飯を食ってたが、戦後はマックばかりに」とか「戦前の日本には尺八音楽が満ちていたが、戦後はジャズやアメリカ文化が……」とか、あまりに19世紀末のエキゾチズムなのではないか……と思わなくもない。ただ、ニューヨーク生まれのプロデューサーがそのように日本を語るおかしみは、男性が女性ヴォーカルの曲をカヴァーしているおかしみ、日本人が発音するフランス語詞・英語詞のおかしみに通じているようにも感じる。

しかし、これホントに「ストレンジ・ラテン・オーケストラ」であるなあ、と思う。ラテン・パーカッションにストリングス、ピアノ、ベース、ハープ、サックス……楽器編成的に南米の音楽にこんな組み合わせはない(ハープをアルパに置き換えれば、一番ベネズエラの音楽に近い……かもしれない)。歌についてもシャンソン、歌謡曲、ラップ、ジャズなどなんでもアリになっている。けれども、雑多な感じがしない。すごい。

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