こちらの記事のつづき。写真は大津のホテルで朝いそいそと荷物を確認する30歳の様子。
2日目は大津から2駅、京都から離れた石山という駅から山奥にあるMIHO MUSEUM(ミホミュージアム)を目指した。現在こちらの美術館では、バーネット・ニューマンの代表作《十字架の道行き》と、最近収蔵された曾我蕭白の《富士三保図屏風》を中心とした日本美術の特別展が開催されている。ワシントンにいかないと見れないニューマンの作品を日本で見れる数少ないチャンスであり、今回の旅行はこの美術館を訪れるのがメインだった。
休みの日には結構バスがでていて、石山から50分ほどで美術館にいける。相当な山道を登っていくが京都からだと1時間半ぐらいで行けてしまうのでそこまで不便な感じはしない。朝イチのバス(9:10石山発)で向かったが、外国人旅行客がひとりでバスに乗ろうとしていて「ミホミュージアム行きのバスはどれだ?」と質問された。バスの車体についてる行き先表示には「MIHO MUSEUM」と表示があったが、駅の周辺には英語表示が一切なく不親切な感じ。
美術館のチケットを売っている建物から、展示がある建物までは山桜の並木道をテクテクと歩き、途中でそこそこ長いトンネルを通る必要がある。トンネルを抜けると、もう完全に下界の音は聞こえず、聞こえるのは風で木が揺れる音や、鳥の鳴き声だけである。このときはしきりにウグイスが鳴いていて、桃源郷のイメージで作られたというコンセプトを五感で理解できた。
ミホミュージアムを運営しているのは、熱海にあるMOA美術館から独立した宗教団体なのだが、この「トンネルを抜けないと展示が見れない」という作りは、MOA美術館の「めちゃくちゃ長いエスカレーターを登らないと展示が見れない」という作りと似ているように思った。長い産道を逆行して、胎内に戻るような作りというか。
まあとにかくロケーションは最高である。建物の外観の写真を撮り忘れたが、設計はイオ・ミン・ペイによる。ルーヴル美術館のピラミッドを設計した有名な人である。自然の光が入り、開放的で、ロケーションを最高に生かした空間であった。
2日目は大津から2駅、京都から離れた石山という駅から山奥にあるMIHO MUSEUM(ミホミュージアム)を目指した。現在こちらの美術館では、バーネット・ニューマンの代表作《十字架の道行き》と、最近収蔵された曾我蕭白の《富士三保図屏風》を中心とした日本美術の特別展が開催されている。ワシントンにいかないと見れないニューマンの作品を日本で見れる数少ないチャンスであり、今回の旅行はこの美術館を訪れるのがメインだった。
休みの日には結構バスがでていて、石山から50分ほどで美術館にいける。相当な山道を登っていくが京都からだと1時間半ぐらいで行けてしまうのでそこまで不便な感じはしない。朝イチのバス(9:10石山発)で向かったが、外国人旅行客がひとりでバスに乗ろうとしていて「ミホミュージアム行きのバスはどれだ?」と質問された。バスの車体についてる行き先表示には「MIHO MUSEUM」と表示があったが、駅の周辺には英語表示が一切なく不親切な感じ。
美術館のチケットを売っている建物から、展示がある建物までは山桜の並木道をテクテクと歩き、途中でそこそこ長いトンネルを通る必要がある。トンネルを抜けると、もう完全に下界の音は聞こえず、聞こえるのは風で木が揺れる音や、鳥の鳴き声だけである。このときはしきりにウグイスが鳴いていて、桃源郷のイメージで作られたというコンセプトを五感で理解できた。
ミホミュージアムを運営しているのは、熱海にあるMOA美術館から独立した宗教団体なのだが、この「トンネルを抜けないと展示が見れない」という作りは、MOA美術館の「めちゃくちゃ長いエスカレーターを登らないと展示が見れない」という作りと似ているように思った。長い産道を逆行して、胎内に戻るような作りというか。
まあとにかくロケーションは最高である。建物の外観の写真を撮り忘れたが、設計はイオ・ミン・ペイによる。ルーヴル美術館のピラミッドを設計した有名な人である。自然の光が入り、開放的で、ロケーションを最高に生かした空間であった。
最後の写真はカフェテリアのもので、素材にこだわってやってます、と美術館のカフェテリアとしてはかなり気合が入ったものだと言えよう。団体の観光客で館内は賑わっていた。大半が中国から来た人たちだったが、ドイツ語も英語も聞こえたのでいろんなところからこの山奥に来ているのがわかる。いや、それも納得の展示内容なのだ。常設展はリトル大英博物館のような感じである(正直、ここに来たら大英博物館にいかなくとも良いかも、と思う。大英博物館で見たものがめちゃくちゃある)。なかなか度肝を抜かれました。
で、バーネット・ニューマンだ。いや、良かったね。彼の作品はテート・モダンで1枚だけ見た記憶がある。そのときは、なんだかわからないが、見ていて面白い、まったく面白さが言語化できないがずっと見ていたい気持ちになるだけだったが、14枚(+1枚)の連作を見ているうちに、少しニューマンの絵が見たくなる理由が言葉になってきた気がする。
Barnett Newman Franz Meyer
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これは1958年の《十字架の道行き》の第1留の「場面」だが、基本的にはほかの14枚も大きなキャンバスに線が走っていて(この線はジップと呼ばれる)、線の色が黒かったり、白かったり、太くなったり、細くなったり、まわりの絵の具が乱れたり、整ったりするだけだ。「これが絵なの?」と疑問符を浮かべる人が多くいるであろう、典型的現代芸術だが、これらの連作を、ひとつのストーリーとして捉えると、ひとつひとつのキャンバスのなかにものすごいエモーショナルな動き、それこそバッハの《マタイ受難曲》ばりのダイナミックなサムシングが封じ込まれているような気がしてくる。
MIHO MUSEUM
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同時開催の《曾我蕭白 富士三保図屏風と日本美術の愉悦》も良かった。むしろ、こっちのほうが良かったかもしれない。大変に見せ方が上手くて感心した。さすが辻惟雄が館長をやっているだけある。屏風・焼き物・掛け軸・各種工芸品を単品で、例えば年代ごとに見せていく、という感じではなく、それらの作品がホントに当時の趣味の世界のなかで使われているように展示されていた。たとえば茶室を模したセットのなかに掛け軸や焼き物を置いてみたり。屏風をバックに焼き物を配置してみたり、大きな花生けに花を生けてみたり、と死んだ収蔵品を見せられている感じでなく、展示物が生きている感じが伝わって来るようだった。これはヤラれますよ。
最後にレストランで冷やし天ぷらうどんを食べて京都に戻った。これも手打ちうどんで、コシのあるとても美味しいものだった。山菜の天ぷらは少しあげ方に文句のつけようがあったが美味しくいただけた。隅から隅まで手が込んでる美術館であると思った。なお、アルコールの提供は基本なし(カフェテリアでワインの有料テイスティングがあるだけ。ミュージアムショップで、ボトルの値段を確認したら2万円ぐらいして驚いた)。
(つづく)
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