アントン・ヴェーベルン《5つの断章》

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 アントン・ヴェーベルンが初期に書いた無調作品、弦楽四重奏のための《5つの断章》(の弦楽合奏版)の演奏映像がYoutubeにありました。ちゃんと全楽章がとりあげられており、演奏のクオリティもかなり高い。すべての楽章がとても短いので気が短い方にも勧められる現代音楽であります。第3楽章なんか1分にも満たない。



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 《5つの断章》は、ヴェーベルンの作品ではかなり演奏頻度も評価もともに高い部類の作品ですけれど、聴きなおしてみると改めて「それだけの理由があるなあ」と思います。



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 とくに最終楽章での、弱音器つきの弦の音色が妖しくて素晴らしい。ぞっとするような美しさがあり、間違いなく「これもロマン派の音楽だ」と言える様な気がします。無調/12音という音楽の流れを「ロマン派の否定」と捉えるよりも、私には「ロマン派の延長」という風に捉えたほうがしっくりくる。芸術家が聴衆の理解の範疇を越え出ようとするその態度からしてロマンティックと呼べると思いますし。



自発的に生じた音楽観は、既存のものすべてを抑圧し、ひとたび学んだことを追い払い、想像力の強制に従うことのみを許す。この忘却の力は、反応の直接性によりどの瞬間も音楽文化の媒介性を疑問に付すところのあの野蛮な芸術敵視のモメントと近親関係にあるのだが、他方でこの力だけが、技術を巨匠的に駆使することとと均衡を保ちながら、音楽文化のために伝統を救う。なぜなら、伝統とは現在ありながら忘れ去られているものだからである。


(アドルノ『新音楽の哲学』より)



 また、私はこのような作品こそを真の「モテ音楽」と呼びたく思います。



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