読売日本交響楽団、2010年シーズンのサントリー・ホール一発目は今季より第9代常任指揮者に就任したシルヴァン・カンブルランの指揮。この人のこれまでの仕事についてはほとんど知らず「アンタ誰?(青島だぁ)」状態で聴きに行く。プログラムは以下。
ベートーヴェン/序曲《コリオラン》
マーラー/交響曲第10番から《アダージョ》
シェーンベルク/交響詩《ペレアスとメリザンド》
中プロにマーラー、メインに初期シェーンベルクの重量級交響詩を持ってくるあたり、気合は充分、と言った感じだが、正直、前中は普通(か、それ以下)な演奏に思えた。ベートーヴェンはまだ良かったが、問題はマーラー。冒頭のヴィオラからして微妙な乱れがあり、終始ピリッとしない演奏が続き退屈した。管楽器はおおむね良かった気がするが、弦楽器が残念だった。あとカンブルランは、写真だと太っていそうな雰囲気なのだが足とかが細くて意外。
やれやれ、新シーズン一発目からこれで大丈夫かいな、おぉん? とため息をつき迎えたメイン。これがオケが全部入れ替わったような素晴らしい演奏だった。ワーグナーの3時間を40分に圧縮したかのよいなシェーンベルクの複雑な楽曲をカンブルランはガシガシと振りさばいていく。これが新しい常任指揮者の本気モードなのか……と驚きながらロマン派末期のグズグズに熟れまくった響きを堪能したのだった。満足。
ちょっと小耳に挟んだところによれば、この人も今回の来日の際、アイスランドの火山の影響で大変な苦労をしたそうである(まぁ、それと演奏は別問題だと思うが)。終演後、日本人にも分かるようなスピードで「毎回ベストを尽くす」と宣言してくれたので今後も期待したい。
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