2010年の暮れになっても紙の本を出すぜ(文学フリマの告知です)

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 もはや21世紀に入ってからだいぶ経過してるわけで「今って21世紀なんだよ」と言われたとしても「それが何か? 当たり前だろ」なんて誰も驚かなくなっている昨今、《21世紀》という言葉を心の顕微鏡でジッと見てみれば、過ぎし日の20世紀に思い描いていた21世紀はとびっきりの未来だったはずなのに現実は俺の認識力がコンピューターと直接に接続されたりしているわけでもなく、俺のペニスが機械に置き換わっているわけでもない……このような現実にがっかりしてしまうのは、俺のサイバーパンクな未来予想図を構築しているモノに、俺が小学生の頃、日曜洋画劇場でしきりに予告していた『JM』の映像があるからだろう、それは『マトリックス』よりも『ブレードランナー』よりも『攻殻機動隊』よりも先駆けて未来的リアリティをもつ映像だったのだが、映画自体はつまらなかった記憶しかない、しかしながら、今現在調べたところによればあの映画において主人公の「情報の運び屋」が記憶することができる記憶容量は最大160GBである、ということが映画公開時1995年の情報技術に対する未来に関する認識力/予想力を物語ると同時に、それから15年後の現実は「○○なう」などと言いながらも少なくとも記憶容量に関しては『JM』的リアリティをはるかに凌駕してしまっているのだから、部分的には『JM』的未来はすでに通りすぎてしまっているものとも言えなくもない。





 2010年とは、そのような未来であるようにして未来でないような曖昧な時間なのであり、そうした現実の不安定さというものは、乱立する電子書籍規格や、話題になったりしては消えていく素人向けの電子書籍出版サービスからも一層印象付けられるのだが、時代はもはや紙ではなくデータである、ということは、しゃちほこばって、5人で来店すれば梅酒のボトルが1本サービスになる飲み屋に集った情報工学系の大学生でなくとも確信できることなのであり、そうした時代において紙の本を出すなどという行為は時代遅れの行為のほかに何物でもないのであるが、こうした時代の流れとはまったく逆方向に走る、という赴きもまた『JM』的予想を裏切るものであろう。こうした意味で200ページを超える過去最大ヴォリュームとなった文芸同人誌『UMA-SHIKA』第4号とは、ウィリアム・ギブスンの、キアヌ・リーブスの、世界のキタノの想像力を過去の方向に上書きするものでもあろう。


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 この200ページ超のなかで、『JM』的想像力を殺すものとしての俺は2つの記事を寄せている。ひとつは『権威のない世界文学評議会』という長い往復書簡。こちらは文学素人である俺と、文学プロパーである石間異路さん(id:idiotape2)がガチで組み合って、文学についてバーリ・トゥードで語ったやりとりをほとんどそのまま収録したものである。超絶的にスリリングな語りが展開されており、先行で読んでもらった方々からは賛辞(面白かった!)と非難(なぜ俺を参加させてくれなかったんだ!)とを盛大に浴びるという嬉しい感想をいただいている。もうひとつは『新しい太陽の都』という短編。なにを言っても、なにかについて語ることになってしまう、こんなポイズンにおいて、なにに対しても言及しない話を目指して書いたファンタジックな短編である――これらが読める『UMA-SHIKA』第4号は、2010年12月5日(日曜日)に開催される第11回文学フリマにて、一冊1000円にて販売される。目次は以下。



《小説》キリストノミコト ココロ社(id:kokorosha


《往復書簡》権威のない世界文学評議会 紺野正武(id:Geheimagent) 石間異路(id:idiotape2


《小説》絶滅と初恋 ヨグ原ヨグ太郎(id:yoghurt


《小説》ブラックボックス ムラシット(id:murashit


《小説》走らずの馬 宮本彩子(id:ayakomiyamoto


《小説》新しい太陽の都 紺野正武(id:Geheimagent


《小説》理由 フミコフミオ(id:Delete_All


《小説》新世界の銀行員たち 森島武士(id:healthy-boy


《エッセイ》ポルチーニ茸を食卓に 吉田鯖(id:yoshidasaba


《小説》孤児たちの支え 保ふ山丙歩(id:hey11pop


《おじいさんの話》おじいさんの話 あざけり先生(id:azakeri


表紙デザイン:ヨネヤマヤヤコ(id:yoneyacco



 イベントの詳細はhttp://bunfree.net/を見てほしい。会場の「I-07」ブースにいけば、この驚愕すべき文芸同人誌を手に取ることができるだろう(過去の号も紙版の在庫がある分については在庫を、在庫がない号についてはCD-R版を販売する予定である)。誰が『JM』を殺すのか……。記憶の運び屋たちを殺す者たちへの勲章は『UMA-SHIKA』の購入者たちに与えられるであろう。えっと……えっと……買ってください! お願いします!!







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『UMA-SHIKA』第4号全収録作品へのレビュー





4 件のコメント :

  1. こんど下北沢でお会いするとき、これ1冊持って来てください!

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  2. 了解いたしました! 高橋さんの分も含めてもっていきます!

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  3. お願いしようとしたら、なんとグルに先を越されていましたね。是非、購入させて下さい!

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