スーザン・ソンタグ 『隠喩としての病い』

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隠喩としての病い
隠喩としての病い
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スーザン・ソンタグ
みすず書房
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スーザン・ソンタグの『隠喩としての病い』を読む。この批評家がどういう人なのかよく知らず、難しいことを書く人なのだろう、と思っていたのだけれど、この本はそんなに難しい本ではなかった。ジャンルとしては、文学史的、というか、インテレクチュアル・ヒストリーに隣接するような本だと思う。結核と癌というふたつの「死に至る病」が文学のなかでどのようなメタファーとして用いられてきたのか、をたどっていく。

原書「Illness as Metaphor」が出版されたのが1978年。本書に綴られた癌に関する記述は、現代とはちょっと環境が違うことを意識させられるが(当時、欧米でも癌患者に対する告知が普通におこなわれていなかったらしい。インフォームド・コンセント以前のお話であるようだ)、かつては結核、そして癌が、数ある病のなかで特別扱いされていたことを強く意識させられる。これらは文学的な病である、と言えるのだろう。結核 = 死の病、という文化は薄れつつあるとはいえ(それは部位にもよるけれど、癌にも同じことが言える。ただし、癌の場合『生存率』というものが明示されることによって、また別な問題を抱えているけれど)現在においても、文学的修辞としての結核は現役であることは、昨年公開された『風立ちぬ』の例を見ても明らか。ただし、その隠喩によって意味される内容は明らかに変容している。結核によって性欲が増進する、とか性的魅力が高まる、とか言う迷信じみたものがあった……などの記述を大変面白く読んだ。

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