ブラジル本国では「チェット・ベイカー meets ジョアン・ジルベルト」と評されているらしいレオ・トマッシーニの新譜を聴く。これは大名盤。声質が非常にカエターノ・ヴェローゾに似ており(ちょっと声は低いが、息子のモレーノ・ヴェローゾよりも似ている気がする)かつ、アート・リンゼイがプロデュースしていた時期のカエターノからエグみやトゲを抜いて日和らせマイルドなアコースティック・サウンドをフィーチャーした……みたいな、もし今カエターノがオルタナっぽい方向に進んでいなかったら……IF……もし……もみたいなアルバムである。しかも、カエターノ本人もヴォーカルで参加してて、どっちかわからん、かつペドロ・サーやドメニコなどカエターノやOrquestra Imperial周辺の面々も加われば、買わないわけにはいかないでしょうが……!
と、冒頭からカエターノ、カエターノと誰のアルバムについて語っているのかわからない感じだが、ホントに素晴らしい。ギル・エヴァンスやジェリー・マリガンを彷彿とさせるホーン・アレンジで幕をあけたかと思えば、ペドロ・サーのフリーキーなギターも聴こえるし、オーセンティックなサンバやボサノヴァまで様々な音楽が次々に飛び出してくる。そして色々やっているのに、決してガチャガチャしておらず、めちゃくちゃに落ちついた雰囲気で聴こえるのだから不思議だ。澱が沈んでる感じ、なんですかね。とても豊穣な音楽。
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