タラ・パーカー=ポープ 『夫婦ゲンカで男はなぜ黙るのか』

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夫婦ゲンカで男はなぜ黙るのか
タラ・パーカー=ポープ
NHK出版
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著者はアメリカの健康情報ライターだそうで、夫婦関係に関する調査や実験の結果をもろもろまとめたもの。「◯◯大学の社会学者は〜と言っていて〜」だとか「脳科学的には〜」だとかもっともらしくでてくるのだが、研究で得られたデータがどれだけ真っ当なものなのかは本書を読むだけでは全然わからない(出典は、WEB上で公開されている)。ベストセラーになった『話を聞かない男、地図が読めない女』で大々的にその存在がアピールされた脳の性差(生まれた時から男女の脳は働きが違う! と言われると信じちゃうけれど、環境因子の影響もあるだろ……と批判されるべきもの)についての言及も多い。さまざまな「結婚のサイエンス」をパッチワーク的に使って、夫・妻、それぞれに対して教訓を与える面白い読み物ではあるけれども。

ざっくりとその教訓を紹介すると……

  • 不満は溜め込まないで吐き出せ!(ただし相手を侮辱するな。落ちついて話せ!)
  • セックスはしたくなくてもしとけ!
  • ケンカの原因は大体において根本的な解決をしない!(だから気にすんな!)
とか。新婚ホヤホヤならこういうことはわからないかもしれないけれど、書いてあることは「あー、やっぱりそうだよねー。統計とったらウチみたいな夫婦多いんだなあ」、「みんな似たような悩みを抱えてるんだなあ……」としみじみ思う点が多々ある。サイエンスによって「夫婦あるある」を認識する感じ、というか。しかし、紹介されている研究に協力している多くの夫婦が、アメリカのそこそこ中流階層(かそれより上の人)。それはたまたま日本の中流家庭と共通項を持っていただけで、階層ごとに全然夫婦の在り方は違うかもしれない、とも思った。

冒頭、そもそも「一夫一妻制」という世界中で広く見られる風習・文化・制度は正しいのか、という話が展開されるのだけれど、正直そこが一番面白いかも。よく結婚否定派の人が「生物には自分の遺伝子を多く・広く残したいという本能をもっているハズ。だから結婚は生物学的に間違っている」とか言うじゃないですか。わたしはそういう本能論に対して全般的にうさんくさいな、と感じていて、「本能」とか「母性」とかを持ち出して語られるものの大半が可塑的なものなのでは、と常々思ってるので、そのへんを他の生物の生殖行動と絡めながら「一夫一妻制は生物的に誤っているのか!?」というところを検証しているのを興味深く読んだ。

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