J.D. サリンジャー 『フラニーとズーイ』

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フラニーとズーイ (新潮文庫)
サリンジャー
新潮社 (2014-02-28)
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村上春樹によるサリンジャーの新訳を読んだ(サリンジャーって特別に好きな作家でもないのに新訳をほとんど読んじゃっていることに気づいた)。先行する野崎孝訳で読んでいたけれども、あんまり記憶に残ってなかったね。「ズーイ」は「あ、風呂のなかで長話する小説だよな」というぐらいで「フラニー」に至っては「こんな小説だったのか……」とほぼ初見みたいな感じだった。これは野崎孝の訳が云々、というよりも、学生時代の自分の読み方がいかに雑だったか、を示している。「世の中、クソみたいな人間ばっかりだ」と今よりもずっと強く考えていた学生時代のほうが「フラニー」なんか響きそうなんだけれど不思議。めんどくさい宗教談義が長々続く「ズーイ」も、長いなあ……と思いながら、密室で起こる家庭劇として読めて面白かった(作中で書かれている通り、ホーム・ムーヴィーのような小説なのだ)。「フラニー」が「世の中、クソみたいな人間ばっかりだ」ということに対する拒絶なのだとしたら、「ズーイ」は少し年長の兄がそうしたクソさ加減に対しての諦念を授けるような話なのかもしれない。

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