ジョイス・モレーノ
オーマガトキ (2014-06-11)
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というわけでブラジル音楽界隈では旧譜が熱いのだけれども、もちろん新譜も熱くて、大御所ミュージシャンの新譜のリリースが続いている。こないだはジルベルト・ジルのアルバムが、今度はジョイスのアルバムがでた。両者のアルバムに共通しているのは、自分のルーツとなっている楽曲をとりあげたカヴァー集ということ。トム・ジョビンあり、ドリヴァル・カイミあり、と楽曲のセレクトまでちょっとかぶっていて、どれだけジョビンやカイミという音楽家が偉大だったかを感じとれる内容だ。
しかし、ジルが自分たちの息子世代の若いミュージシャンをプロデューサーや演奏者に迎えて、名曲を新しくリメイクしてみせたのに対して、ジョイスの本作はかなりオーセンティックなジャズ・サンバ的アプローチをとっていることで大きく違う。目新しいことはなにもやっていない。もちろん、名手たちの演奏と、ジョイスの素晴らしい歌声とギターに否定的な要素が含まれているわけではない。おそらく、リラックスした雰囲気のなかで制作されているんだろうなあ、という感じが伝わってきて、聴いていて自然と心がほぐれていく感じがする。ゲスト参加のホベルト・メネスカルのギター・ソロも、グッとくるさりげなさがあって痺れる。こういう、なんというか小野リサ的安定感をもった作品から、ブラジル音楽の世界に入っていけるのはとても良いことなのではないか、と思う。
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