『カワハギの肝』は杉浦による食エッセイ集だが、これも一風変わったスタイルで綴られている。杉浦の持論は「本当に上手いものを食べたければ、自分で作るのが一番だ(それが本物なのだ)」という実にDIY精神あふれるものである。売っている野菜が品種改良で、自分の舌にあわなくなってきた、だったら自分で作ってやろう、というわけである。エコだとかロハスだとかの思想というかファッション的なものからでなく、極めて求道的な舌からくる欲望からきているのがグッとくる。
子供の頃に海や山を歩き回って食べたものの思い出を綴った文章が、じんわりとくる。甘いものがない時代に、花の蜜を吸った、だとか、ああ、昔自分もツツジの花の蜜を吸ったっけな……と懐かしく思いながら読んだ。
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