杉浦明平 『カワハギの肝』

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カワハギの肝 (光文社文庫)
杉浦 明平
光文社
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安西水丸の『東京美女散歩』のなかで名著として紹介されていた。杉浦明平(1913 - 2001)は東京帝大で国文学を専攻しながら、アララギ派の俳人としても活躍し、批評や小説も残し、戦後は共産党に入党し、郷土の愛知県渥美郡の町会議員としても活動しながら、イタリア・ルネサンスの研究もおこなっていた、というなんだか多彩な人である。

『カワハギの肝』は杉浦による食エッセイ集だが、これも一風変わったスタイルで綴られている。杉浦の持論は「本当に上手いものを食べたければ、自分で作るのが一番だ(それが本物なのだ)」という実にDIY精神あふれるものである。売っている野菜が品種改良で、自分の舌にあわなくなってきた、だったら自分で作ってやろう、というわけである。エコだとかロハスだとかの思想というかファッション的なものからでなく、極めて求道的な舌からくる欲望からきているのがグッとくる。

子供の頃に海や山を歩き回って食べたものの思い出を綴った文章が、じんわりとくる。甘いものがない時代に、花の蜜を吸った、だとか、ああ、昔自分もツツジの花の蜜を吸ったっけな……と懐かしく思いながら読んだ。

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