レム・コールハース 『S, M, L, XL+: 現代都市をめぐるエッセイ』

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S,M,L,XL+: 現代都市をめぐるエッセイ (ちくま学芸文庫)
レム コールハース
筑摩書房
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建築家、レム・コールハースによる伝説的著作『S, M, L, XL』の待望の邦訳が、ちくま学芸文庫で出されていた。本書についてはわたしもかねてから、その伝説の部分だけを聞き知っていた。原書の位置付けについては、刊行記念で寄稿されている山形浩生の文章や、建築家の岩元真明によるWeb連載に詳しい。読まれることを拒むような浩瀚な原著のキャラクターは、やはりそれだけで興味をそそる。今回の邦訳『+』版、原著で多用されたイメージをほとんどカットし、現代都市について語るコアとなる文章を選び、さらに近年のテクストを追加して編集した(企画には原著者も関わっている)内容なので、なんだろ、抄訳版とも違うし、ゴダールの『映画史』の短縮版みたいなものなのかもしれない。

建築のことはよくわからないし、実はコールハースのことも、先に触れた岩元真明の修士論文のタイトル「大都市的建築―レム・コールハースとヴァルター・ベンヤミンの比較研究」だけで興味を持っていた。ベンヤミンと比較される建築家はどんな文章を書いているんだろう、とただそれだけの興味である。今回初めて読んでみたら、まあ、たしかにシニカルな語り口や、語りの晦渋さ、あるいはイメージの伝え方には、たしかにベンヤミンっぽさがあるのかもしれない、と思った。特に都市や建築を語りながら、社会批評を織り交ぜてくるやり方は『パサージュ論』みたいでもある。というか、わたしは建築のことがよくわからないので、そういう批評的な読み方しかできないのだった。そして、コールハースの語り口に触れてると現代都市がすべてディストピア的に感じられてきて気が滅入ってくる。

都市から少し離れた文章では、東京や日本について書いているもののなかに、こういうのがある。
日本では何もない自由時間に仕事が組み込まれているのではなく、仕事という基本体制から掘り出された例外的な状態を自由時間と言う。
なんという 適切な表現なのか。

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