水墨画のような幻想

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ゼーロン・淡雪 他十一篇
牧野信一
岩波書店
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 日本的な私小説にギリシアやヨーロッパの神話的なイメージが重ね合わさったときの「つかめなさ」がとても興味深い小説。一応、「幻想小説」の部類に入るようだけれど、すごく特殊な印象を抱いた。神話世界のモチーフによって、描かれる世界観は彩り鮮やかなものになるのかと思いきや、小説本来の私小説性というか土着性にそれが吸収されて、水墨画のような不思議な夢模様が描かれている感じである。しかも、力強いところと繊細なところが点在しているような……。


 牧野信一は謎だ。日本にこういう作家がいたとは……。





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