英国ジャズ・ロックの深い森

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Fourth/Fifth
Fourth/Fifth
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Soft Machine
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 70年代イギリスにおける「ジャズ・ロック」に対しての興味が高まっている。70年代ジャズといえばアメリカではフュージョン大旋風が起こっていたわけだが、イギリスでも似たような動きがあったのである。ジャズとロックとの融合。まぁ、それ以前のイギリスに「モダン・ジャズ」的なものがあったのかどうかは知らないのだが。イギリスにおけるジャズは「ジャズ・ロック」から始まった……とかだったら恐ろしい。


 ソフト・マシーンの『Fourth』と『Fifth』は、「カンタベリー・ミュージック」と呼ばれる実験的なサイケ・ポップの一種からバンドが脱却し、完全にジャズ・ロック路線へと突き進んだもの。どちらもテクニカルかつ硬質な演奏が聴けるのだが、どちらかと言えば『Fourth』だ。アメリカ的な所謂「ジャズ」と異なり、即興演奏よりもアンサンブルに主点があるようで面白い。オルガン、サックス、ベース、ドラムが複雑な絡み合いを見せるところには確実にコンポジションの力を感じる。もちろん、エルトン・ディーンがソロで聴かせるサックスの演奏もカッコ良いのだが、やはりアンサンブルがビシッと決まっている部分に聴きどころがある気がする。このアルバムを最後に、オリジナル・メンバーの一人ロバート・ワイアットは脱退してしまうのだが、彼のラスト・ダンスが壮絶。


 『Fifth』になると高度なアンサンブルは解体されて、グッと即興主体になる。静かにエレピやドラムが鳴っている上で、フリーキーなソロが展開されるのが聴きものだが明らかに「『Bitches Brew』じゃねーか!」という感じはする。アルバムの冒頭も、サックスがオーバーダブされた形で始まるし……。


 気がついたらソフト・マシーン関連が結構家に揃っていてびっくりした。揃えてみて俯瞰してみると色々なことが分かって面白い。例えば、『Fourth』で脱退するワイアットがソフト・マシーン在籍中に製作した一枚目のソロ・アルバムやマッチング・モウルを聴くと他メンバーとの明らかな方向性の違いが分かる。「俺は本当はサイケ・ポップ路線続けたかったのに……」と思いながら『Fourth』ではヤケクソで叩いてたんじゃなかろうか、などと想像してしまう。



3
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ソフト・マシーン
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 が、結局は『Third』だ。ここにはその後のソフト・マシーン関係者の全てがあるように思う。マンションの窓から転落しドラムが叩けなくなってからのワイアット的なものも、ジャズ・ロックからなんの魅力もないテクニックだけあるフュージョン・バンドと化するその後のソフト・マシーンも、アマルガム的に混在している。非常にパワフルな形で。そして、その後に誰も、この混沌としたなかに輝く魅力的な存在を乗り越えるものを作っていないような気さえする。


 最近知ってビックリしたのだが、このアルバムの1曲目「Facelift」は別々な場所で録ったライヴ音源を編集しなおして作ったものだそうな。明らかに編集の手が加わっているのは、音質の違いなどで分かっていたのだが、まさかそこまで「ストロベリー・フィールズ」的なものだったとは思わなかった。バンド名に恥じないカットアップ!


 今後は「イギリスの白いマイルス・デイヴィス(微妙に嘘)」、イアン・カーによるニュークリアスというバンドの音源を聴いていこうと思います。





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