ZAZEN BOYS4posted with amazlet at 08.09.21ZAZEN BOYS
インディーズ・メーカー (2008-09-17)
売り上げランキング: 107
向井秀徳率いるザゼン・ボーイズの4枚目のアルバム。前作までとはかなり違う方向(変拍子ポストパンク路線は控えめ)に行っているが、異様なまとまりのある素晴らしい作品になっている。賛否両論があるだろうが、私個人としてはこのアルバムがこのバンドの現時点の最高傑作だと思った。まるで南米の作家が書いたような一息の長いリリックも冴え渡っており、これはライヴで是非聴いてみたい。絡みつくような律動による拘束と、ブレイク時になされる解放、この回転運動の強度は更なる高まりを見せており、以前よりダンサブルな要素が増えているのも聴き所だ――ロックの延々縦乗りが持続される(大嫌いな)モッシュ文化とは相容れないだろうけれども、妖しい黒さが満載なのも聴いていてとても楽しい。こんなに展開の予想がつかないバンドが現在進行形で存在していることがとても喜ばしい。
(メンバーの表情が完璧すぎる『Weekend』のPV)このアルバムが発表されたことによって起こる賛否両論は、聴き手が「NUMBER GIRLの向井秀徳」を求めていたのか「向井秀徳のZAZEN BOYS」を聴いていたのか、それをはっきりと分けてしまう気がする。ここに来てZAZEN BOYSからNUMBER GIRLの残り香は払拭されているように思うのだが(そこで前者のファンは振るい落とされてしまう?)、しかし、そうでなかったらアルバムの最後に収録された「Sabaku」のような名曲は生まれなかっただろう。
また、バンドが「完璧に向井秀徳のバンド」となってしまった感をこのアルバムでは強く感じた。しかしそれは良くもあり、悪くもある点だと思う。良い点では、音楽的なまとまり、というか意図の見通しの良さ、まじりっけのなさにおいて作用しているけれども、それだけに「法被を着たレッド・ツェッペリン」という当初のコンセプトにあった個性のぶつかりあいは薄れてしまっている。ベーシストの交代も大きかっただろう。正直、前ベーシストの日向秀和の演奏は好きに慣れなかったけれど、あの異物感はバンドにとって結構重要だったのかもしれない、とも思った。それはアヒトイナザワのドラムにしても然りだ。
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