スキップしてメイン コンテンツに移動

読売日本交響楽団の2009年度プログラムからオススメ公演を選ぶ



2009年度 会員のご案内 - 読売日本交響楽団


 まだ2008年も終わっていませんが、オーケストラ界におきましてはすでに2009年度のプログラムが発表されています。本日は、在京オケのうち、読売日本交響楽団(通称:読響)の2009年度プログラムから「これは!」というものをご紹介いたします。ちなみにこのオケは今年初めて聴いたのですが「日本にもこんなに良いオーケストラがあったのか!」と大変感銘を受けました。やはり新聞社や放送局と言った安定したお金の出所があるオケは違うのかもしれないけれど、読響は定期演奏会の雰囲気にローカルな温かみを感じます。


 まずは目に付くのは2009年4月7日の定期演奏会(サントリーホール)。こちらは全プログラムが邦人作曲家によるもので、没後20年の芥川也寸志と、生誕80周年の黛敏郎が取り上げられます。黛作品はなんとあの《涅槃交響曲》。東大寺の鐘の音をコンピューターで解析し、オーケストラで再現しようとした日本のスペクトル楽派的音響作品。これはマジで聴きに行くしかない。



D


 そして、もうひとつは2009年11月30日の定期演奏会(サントリーホール)。この日は、ゲンナジー・ロジェストヴェンスキーによるアルフレート・シュニトケ特集。日本初演の作品が2曲も織り込まれるなど注目度が高いです。来年はシュニトケ生誕75周年だそう。


 定期演奏会シリーズで注目されるものの最後はやはりスタニスラフ・スクロヴァチェフスキの指揮によるアントン・ブルックナーの交響曲第8番(2010年3月26日。サントリー)。ここまで来るともはや再来年の話になってしまいますが、気になるのはスクロヴァチェフスキの年齢。このときにはもう86歳になっているはずなので体調に気をつけていただきたい。ちなみにスクヴァチェフスキは2009年9月24日の名曲シリーズでもブルックナーを演奏します。こちらは交響曲第9番を予定。


 サントリーホールで開催される定期演奏会を離れて注目されるのは、2009年4月18日の東京芸術劇場名曲シリーズでしょうか。こちらは次期首席指揮者に決定しているシルヴァン・カンブルランによるフランスものプログラム。ラヴェルの《クープランの墓》などがプログラムにあがっています。現在の首席指揮者、スクロヴァチェフスキの次にこのオケがどうなるのかが垣間見れるのではないでしょうか。あとはちょいちょい下野竜也がヒンデミットを取り上げているのが嬉しい感じ。





コメント

  1. 来シーズンの読響は本当に楽しみだね!あとはセーゲルスタム先生のマラ7とか・・・!
    今シーズンの個人的注目は上岡敏之指揮の定期!どうにかして行きたい…

    返信削除
  2. 今シーズンはあと《ミサ・ソレムニス》が残ってるので死ねない感じです!

    返信削除
  3. ミサ・ソレムニス良いよね…いつか全曲演奏したい!

    返信削除
  4. 第九よりも凄い曲ですよ!

    返信削除

コメントを投稿

このブログの人気の投稿

石野卓球・野田努 『テクノボン』

テクノボン posted with amazlet at 11.05.05 石野 卓球 野田 努 JICC出版局 売り上げランキング: 100028 Amazon.co.jp で詳細を見る 石野卓球と野田努による対談形式で編まれたテクノ史。石野卓球の名前を見た瞬間、「あ、ふざけた本ですか」と勘ぐったのだが意外や意外、これが大名著であって驚いた。部分的にはまるでギリシャ哲学の対話篇のごとき深さ。出版年は1993年とかなり古い本ではあるが未だに読む価値を感じる本だった。といっても私はクラブ・ミュージックに対してほとんど門外漢と言っても良い。それだけにテクノについて語られた時に、ゴッド・ファーザー的な存在としてカールハインツ・シュトックハウゼンや、クラフトワークが置かれるのに違和感を感じていた。シュトックハウゼンもクラフトワークも「テクノ」として紹介されて聴いた音楽とまるで違ったものだったから。 本書はこうした疑問にも応えてくれるものだし、また、テクノとテクノ・ポップの距離についても教えてくれる。そもそも、テクノという言葉が広く流通する以前からリアルタイムでこの音楽を聴いてきた2人の語りに魅力がある。テクノ史もやや複雑で、電子音楽の流れを組むものや、パンクやニューウェーヴといったムーヴメントのなかから生まれたもの、あるいはデトロイトのように特殊な社会状況から生まれたものもある。こうした複数の流れの見通しが立つのはリスナーとしてありがたい。 それに今日ではYoutubeという《サブテクスト》がある。『テクノボン』を片手に検索をかけていくと、どんどん世界が広がっていくのが楽しかった。なかでも衝撃的だったのはDAF。リエゾン・ダンジュルースが大好きな私であるから、これがハマるのは当然な気もするけれど、今すぐ中古盤屋とかに駆け込みたくなる衝動に駆られる音。私の耳は、最近の音楽にはまったくハマれない可哀想な耳になってしまったようなので、こうした方面に新たなステップを踏み出して行きたくなる。 あと、カール・クレイグって名前だけは聞いたことあったけど、超カッコ良い~、と思った。学生時代、ニューウェーヴ大好きなヤツは周りにいたけれど、こういうのを聴いている人はいなかった。そういう友人と出会ってたら、今とは随分聴いている音楽が違っただろうなぁ、というほどに、カール・クレイグの音は自分のツ...

土井善晴 『おいしいもののまわり』

おいしいもののまわり posted with amazlet at 16.02.28 土井 善晴 グラフィック社 売り上げランキング: 8,222 Amazon.co.jpで詳細を見る NHKの料理番組でお馴染みの料理研究家、土井善晴による随筆を読む。調理方法や食材だけでなく食器や料理道具など、日本人の食全般について綴ったものなのだが、素晴らしい本だった。食を通じて、生活や社会への反省を促すような内容である。テレビでのあの物腰おだやかで、優しい土井先生の雰囲気とは違った、厳しいことも書かれている。土井先生が料理において感覚や感性を重要視していることが特に印象的だ。 例えば調理法にしても今や様々なレシピがインターネットや本を通じて簡単に手に入り、文字化・情報化・数値化・標準化されている。それらの情報に従えば、そこそこの料理ができあがる。それはとても便利な世の中ではあるけれど、その情報に従うだけでいれば(自分で見たり、聞いたり、感じたりしなくなってしまうから)感覚が鈍ってしまうことに注意しなさい、と土井先生は書いている。これは 尹雄大さんの著作『体の知性を取り戻す』 の内容と重なる部分があると思った。 本書における、日本の伝統が忘れらさられようとしているという危惧と、日本の伝統は素晴らしいという賛辞について、わたしは一概には賛成できない部分があるけれど(ここで取り上げられている「日本人の伝統」は、日本人が単一の民族によって成り立っている、という幻想に寄りかかっている)多くの人に読んでほしい一冊だ。 とにかく至言が満載なのだ。個人的なハイライトは「おひつご飯のおいしさ考」という章。ここでは、なぜ電子ジャーには保温機能がついているのか、を問うなかで日本人が持っている「炊き立て神話」を批判的に捉え 「そろそろご飯が温かければ良いという思い込みは、やめても良いのではないかと思っている」 という提案がされている。これを読んでわたしは電撃に打たれたかのような気分になった。たしかに冷めていても美味しいご飯はある。電子ジャーのなかで保温されているご飯の自明性に疑問を投げかけることは、食をめぐる哲学的な問いのように思える。

2011年7月17日に開催されるクラブイベント「現代音楽講習会 今夜はまるごとシュトックハウゼン」のフライヤーができました

フライヤーは ナナタさん に依頼しました。来月、都内の現代音楽関連のイベントで配ったりすると思います。もらってあげてください。 イベント詳細「夜の現代音楽講習会 今夜はまるごとシュトックハウゼン」