黒沢清監督作品 『降霊』

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恐怖について書かれた文章はおそらくたくさんあるだろうけれど、そうした類いの文章に初めて出会ったのは岸田秀の『ものぐさ精神分析』の一説だった人は結構いると思う。かくいう私も、中学だったか高校だったかの国語の授業で、岸田が「怖いものとは、理解ができないものである」と書いているのを読んだ記憶がある。教科書に載っていたのかもしれないし、もしかしたら模擬試験の現代文にでてきただけかもしれない。とにかく読んだ記憶だけはあって、こうして記憶に残っているのはその説明が腑に落ちてしまったからなのだろう。ただ、腑に落ちてしまったからといって、理解ができない対象が怖くなくなるか、というとそうではなく、結局のところ、怖い! と思ったものを「これは何か得体の知れないものだから『怖い』のだ」と、外側にひとつカッコをつけることができただけで、相変わらず怖いままなのである。黒沢清の『降霊』もそうしてカッコを突き破ってギュンギュンに怖い映画でした。





幽霊の顔が見えないのが怖い。隙間から何かが覗いてるかもしれないから怖い。背景が映るのを遮っているものがなくなったらそこに何かがいるかもしれないから怖い。音楽が怖い。箱を開けたらなにかがいるかもしれないから怖い。こんな風に恐怖対していくつもの説明をつけることができるのに、どうして怖くなってしまうのだろう。あまりに怖くて画面に視線を送り続けられず、ケータイの画面からすでにこの映画を観ていた友人に「こえええええよ」とメールを送ってしまうぐらい恐ろしかった。自分が怖がり過ぎなのかもしれないけれど、映画を観終わっても怖かった……。ホラー映画ファンの方は、こういう映画をたくさん観て免疫や耐性をつけているのでしょうか。とても自分にはそうした抵抗力をつけられる自信がない。役所広司のな~んか主体性がないというか「お前がいいならそれで良いんじゃない(あなたの意思は尊重しますよ~)」という投げやりなダンナさんっぷりも、どこか自分をトレースされているようで恐ろしい。





なにか人には見えないものが見えてしまったり、人には聞こえないものが聞けてしまったり、といった自分に迷惑な才能はイーストウッドの『ヒアアフター』でも描かれていたけれど、本当にそれは孤独なものですよねえ。





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