本年の目標に掲げた「経済・会計学を勉強する」の一環として読む。以前にも会計がらみでは簿記三級を取得したり、その次に簿記二級を受験して(一発で合格できず、その後電卓を打つ練習を根気良く続ける気力がなくなり挫折して)みたりしていたので「入門」である本書の内容は言わば「復習」とも言える。レベル的には三級と二級とのあいだといった感じだろうか(工業簿記がほとんど省略されている)。文章はとても平易で、変に回りくどい(説明しているほうは理解を促すために有用と考えているであろう)例示などもなく読みやすい。あまりにサラサラとした文体なのでただ目で文章を追っているレベルの読み方でもなにがしかの理解をしたような気分にさせてくれる。仕事でいくら疲れていても読む気にさせてもらえたのがありがたかった。
簿記のテキストで詳細に触れられるのは、主に「この勘定項目はどのような意味で、どのように取り扱ってあげれば良いのか」「どのようにして書類を作成するのか」「簿記受験時のテクニック」などであって、実際に作成された書類が実務ではどのように使用されるのか、どのように読まれているのか、についての説明は少ない。本書はそうした簿記受験時には省かれた知識についての肉付けをおこなう意味でも有用であろう。とくに私のような実務ではまったく会計とは関係ないことをやっている人間にとっては、簿記受験の知識などは本当に「受験のための知識」でしかなく、中身のないペラい知識になりがち。簿記での勉強内容を復習しつつ「なるほど、あれはこういう意味があったのか~」と再発見するような読後感を得られる。後追いの勉強によって、こうした発見があって知識が具体化することは往々にしてあるけれど、あの受験勉強が無駄ではなかったのでは、と思わせてくれるので楽しい。
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