読売日本交響楽団第511回定期演奏会 @サントリーホール 大ホール

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指揮:上岡敏之
ソプラノ:キルステン・ブランク
モーツァルト/交響曲 第34番 ハ長調 K.338
マーラー/交響曲 第4番 ト長調〈大いなる喜びへの賛歌〉
先月の読響定期には仕事の都合でいけませんでしたが、先月の《ディヴェルティメント》に引き続き、モーツァルトを演奏。古典派 + 後期ロマン派という言わば、前プロでジャブを打って、メインでガッツリとストレートをカマす、みたいな演奏会は実に定期演奏会的、という感じで安心して聴けるような気がします。

当ブログの読者の方には説明するまでもないことかもしれませんが、この日の指揮者、上岡敏之は現在ドイツで活躍する日本人指揮者。演奏に触れるのは今回が初めてでした。というか、この日のプログラムはマーラー以外はすべて初めて、という感じです(マーラーも実演は初めて)。まず驚いたのは、指揮者の動きについて。「カルロス・クライバーの指揮を彷彿とさせる」という方もいらっしゃるようですが、もはや指揮という領域を越えて、指揮台上でのダンスとも言うべきパフォーマンスでした。リハーサルではどのように振っているのかが気になるところですが(一般的に指揮者の仕事はリハーサルまでに8割以上終わっている、と言われる)、彼が指示している楽器が聴衆にハッキリと分かり、オンタイムでそれが表現になって現れてくる様子は観ていてとても楽しいものです。

前半のモーツァルトについては、最初の一音からドイツ/オーストリア系の音が全開、とはいえ読響自身が元々ドイツ系肉食獣のようなオーケストラのイメージがあるから、それは当然というもの。しかし、この日のモーツァルトで印象的だったのは音の柔らかさ、軽さでした。編成が小さい楽曲であったことも理由のひとつとしてあると思いますが、普段はドッシリとして振る舞う肉食獣が軽やかに舞うのです。上岡の棒とともに。またダイナミクス・レンジはとても広く取ってあるものの、その上げ下げがとても緩やかな線を描くので、動きがあるのに激しさではなく、優しい表現に聴こえる。リラックス系モーツァルト演奏が具現化されたような素晴らしい演奏だと思いました。音の粒がビシッ、ビシッと揃うカッコ良さ、あるいは音がグッと迫ってくるドライヴ感とは別に、心をほぐしてくれる音楽を聴かせてもらえました。この演奏だけで、指揮者のファンになってしまいそうです。

しかし、後半のマーラーは私の体力が持たず、三楽章でかなり眠りこけてしまい、覚醒後にうまく音楽に入り込むことができなかったのは残念です。長いポルタメントや、音の余韻の取り方がとてもロマンティックな方向へと傾斜するようでしたが、不思議と嘆美的な感じにならない。しつこくないし、やり過ぎてはいない。ただ、とても繊細で美しい。曲調にも牧歌的な感じがありますが、そうした箇所はとても良かったです。ただ、曲も長いのでちょっと打つ手がない感じ、というか、攻めきれない時間帯みたいなのも長かった気も。オーケストラの演奏では、コンサート・マスター藤原浜雄や、ホルンの松坂隼のソロがキマりまくっていたのが気持ちよかったですね。あと、この日、ベースに都響の佐野央子さんがいらっしゃったので「ウッ、美しすぎるコントラバス奏者のお出ましだッ」と思いました。

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