「ジャズ」

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Stardust
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John Coltrane
Universal Japan (2007-08-07)
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 先日旧友と会うために仙台へと遊びに行ったときのこと。仙台市の有名な牛たん料理のチェーン店で食事を済ませたあと、友人は「前から行ってみたいお店があるんだ」と言った。そのお店は「カウント」という名前のジャズ喫茶で、その日初めて私は「ジャズ喫茶」という場所に足を踏み入れることになる。


 「カウント」のマスターは角刈りで初老の永六輔そっくりな方で、愛想が良いのか悪いのかよくわからないその対応に私と友人はドギマギしながら、古びた革張りのソファーに身を預け、そこにある巨大なスピーカーでジャズを聴いた。店内には、私たちのほかに常連風の中年サラリーマンや、私たちと同じように「一見さん」で来たカップルがいて、彼らが私たちと同じようにドギマギしているのが可笑しかった。


 音源は主にレコードで、コルトレーンやカーティス・フラーの演奏なんかを聴いたと思う。店の名前と裏腹にカウント・ベイシーの曲は一曲も流れなかった。スピーカーの脇に置かれた譜面台には、今再生されているレコードのジャケットが置かれていたのだが、それらはどれもどこかで目にしたことがあるものばかりだった。


 強烈に「ああ、『ジャズ』ってこういうものだよな」と思ったのはそのときである。括弧で括られ、固定観念と化した「ジャズ」。それは現在進行形で「ジャズと呼ばれている音楽」とは録音のテクスチュアからして、まったく異なっている。ただこれは「昔の方が良かった」という話ではないのだけれど、「カウント」で聴いた音は「ジャズ」という言葉にものすごくしっくりとハマッた。


 菊地成孔の作品を聴いていて、ずっと感じてしまう違和感(作品そのものは素晴らしく思っているのだが)の原因は、この「あのジャズ」と「このジャズ」が甚だしく乖離していることにあるのかもしれない。





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