ブーレーズの新譜がモーツァルト!とベルク!

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Mozart/Berg 13
Mozart/Berg 13
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Boulez Mozart Berg Uchida Tetzlaff
Decca (2008-11-11)
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 まさか21世紀になって“あの”ピエール・ブーレーズがモーツァルトの新録音を出してくるとは思わなかった。しかも、カップリングがアルバン・ベルクの《室内協奏曲》というのだから、ついに気が狂ったのか、ボケたのか……と心配になってしまう――この誰も思いつかないであろう組み合わせについては、ブックレットにおいて語られているので気になる方はチェックされたし。ベルクの《室内協奏曲》のソリストとして招かれた内田光子(ピアノ)とクリスティアン・テツラフ(ヴァイオリン)を交えたインタヴューはとても読み応えがあり、「ベルクと最も似ている作曲家はシューマンだ」と語る内田の鋭い視点などにはハッとさせられた。いつか内田が語る音楽論集が刊行されたらぜひとも読んでみたい。きっと彼女の音楽と同様、彼女にしか語ることのできない文章になるだろう。


 しかし、さすがのブーレーズである。ここで聴くことのできるモーツァルトの《グラン・パルティータ》の斬新な解釈と言ったら、従来のモーツァルト像をことごとく打ち壊すような破壊力だ。とにかくモーツァルトの天才が輝くような、生き生きとした音楽の動きは抑制……というか抹殺されていると言っても良いレベルであり、生きたまま凍り付けにされたようなモーツァルトが展開されている。これを普通のオーケストラで演奏したら、退屈で聴けたものではないだろう。ブーレーズの手兵、アンサンブル・アンテルコンタンポランの管楽器奏者たちが奏でる演奏があってこそ、ブーレーズのモーツァルトは破壊力を持つ――ここまで瑞々しい木管楽器の音色が収録された録音もこれまでに無かった、と思えるぐらい、彼らの演奏は素晴らしい。また、本来、コントラバスで演奏されるパートをブーレーズはコントラファゴットで演奏させている。これが音色の統一感をさらに高めており、音量的にはそれほど大きくないであろう13人の管楽器奏者の合奏を圧倒的な存在をもって響かせる。クレジットはないが、このコントラファゴット奏者がむちゃくちゃに上手い……。


 そして、ベルクの《室内協奏曲》だが、こちらは打って変わってベルクを後期ロマン派の系譜へと位置づけなおすようなロマンティックな名演奏――甘美になりすぎず、研ぎ澄まされた美しさは、ブーレーズのマーラー解釈にも似て、肌の裏側がざわめくような感じがする。ソリストの内田とテツラフももちろん素晴らしく、特に内田のピアノはベートーヴェンやシューベルトの演奏よりもずっと素晴らしく聴こえてしまう――個性的な指揮者と組んだときに、彼女の個性と指揮者の個性がぶつかりあうところは、やはり素晴らしく刺激的である。





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