ルーキアーノス『遊女の対話』

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遊女の対話 他三篇 (岩波文庫 赤 111-2)
ルーキアーノス
岩波書店
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 二世紀に活躍した風刺作家、ルーキアーノスの本を読みました。なんの目的もなく、なんの前情報もなく読んだのですが、この本の表題作ともなっている『遊女の対話』という作品がかなり良い感じで面白く読みました。この作品は、タイトルどおり、遊女(まぁ、売春婦ですね)が「アイツに男を取られた」だの「あんな男はイヤだ」だのベラベラしゃべっている様子がまとめられた短い対話集、と言う感じ。なので特にストーリーらしきものはないのだけれど「二世紀の男も女も、今とあんまり変わらないんだなぁ……」と大変感心しました。とくに最高なのは、遊女にカッコ良く思われたくて「俺、すげーんだよ。この前の戦争でもいっぱい敵を殺しまくったんだZE!」と*1嘘を並べたててみたら「そんな野蛮な男に抱かれたくない!」と逃げられてしまい「イヤ……実は今の話嘘なんだよね……だからさ、ネ……?」と言いに行く、という話。





 あと『ペレグリーノスの昇天』という作品も良かったですね。解説によれば、二世紀ごろっていうのは、ニュー・エイジの比じゃないぐらい宗教だの魔術だのが大流行していたらしくて、もうカルトだらけだったらしーのですが、この作品で語られているペレグリーノスという人も、そういうカルトの親玉のひとりだったみたいです(実在の人物)。この人はいろいろあった挙句「お祭りの日に、火の中に飛び込んで死ぬ!」と自殺予告をして、引っ込みがつかなくなり、ホントに焼身自殺をしたんだって。語り手は、それをゲラゲラ笑いながら眺めてたんだけど、暇つぶしにペレグリーノスの取り巻き連中たちに「彼は火の中で死んだあと、鳥になって飛んでったんだよ! 俺、この目で見たもん!」とか言って嘘をついてたら、そのうち「そうそう、俺も見た!」とか言う人が出てきちゃう。嘘がホントっぽく語られちゃったよ! ホント、カルトの人ってさぁ……みたいな話でした。




*1:まるでid:Delete_Allのように





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