ニコラウス・クザーヌス 山田桂三
平凡社 (2012-11-19)
売り上げランキング: 700,011
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あらゆる可能性を含んでいるのだから、最大の存在でもありながら、最小の存在でもある神。それが「一」ということである。しかし、あらゆる可能性を含んだそのままの状態ではこの世界はありえない。なんでもありな可能性が縮減され、「多」という形で確定された状態で、世界が表現される、とクザーヌスは考える。面白いのは、神は万物を含むけれども、万物は神ではない。現実に表現されるものは有限である。それに対して神は無限だから一致しないのだ。この神から縮減された万物の不可逆性というか、神と世界との断絶が興味深いと思った。
コスモロジーに関しても、クザーヌスは天動説を唱えた人物ではない。地球の周りを太陽や遊星、星々が回る天文学的モデルを採用している。が、クザーヌスは世界の中心を地球には置いていない。世界の中心は、神である、と彼はいう。ここで重要に思われたのは、この神の居場所の設定が、地球を中心とした階層型の天文学モデルを否定しているように思われる点だった。
ハルトマン・シェーデル 『ニュルンベルク年代記』(1493年)の図版 |
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