Quique Sinesi / 7 Sueños / Familia

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7 sueños / Familia
7 sueños / Familia
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Quique Sinesi
bar buenos aires / インパートメント (2014-09-21)
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アルゼンチンのギタリスト、キケ・シネシの新譜を聴く。充実の2枚組で1枚目は「7 Sueños(7つの夢)」は2010年の日本ツアーの際にまわった7つの都市(姫路、名古屋、山形、東京、岡山、福岡、京都)の印象をもとにして書かれた組曲。2枚目の「Famillia(家族)」は、表題どおりの組曲で、昨年母親を亡くした彼のプライヴェートな心情を綴ったものだ。ソプラノ・サックスやチェロ、パーカッションが時折加わり、どちらのディスクでもリリカルな音楽が提示されている。

1枚目が23分、2枚目が39分、と1枚のディスクに収まる長さではあるのだが、ディスクを分けたことによって、優れた短編小説集と随筆集とで本を明確にわけているような印象を受けた。もっともこういう体裁の整え方も、iPodで聴いてしまえば、関係なくなってしまうのだけれども、CDプレイヤーで聴く、という聴取のスタイルを意識した作品の作り方である、ということがわかる。

ジャズ、クラシック、フォルクローレ、さまざまな要素を内包したキケ・シネシの音楽を一言で言い表すならば「クロスオーヴァーもの」という乱暴な言葉を思わず使いたくなるけれど、それは素晴らしいテクニックを雄弁に見せつける類のものではなく(もちろん、テクニックはものすごいんだけれど)、リスナーの心を内側から熱くさせる、そういう音楽である。

アルゼンチンといえば、タンゴのイメージしかない人もいるだろう。キケ・シネシもまたタンゴのバンドを組んでいるし、キャリアを振り返っても切り離せないジャンルである。でも、アルゼンチンの音楽はそれだけではない。ブラジルがボサノヴァやサンバだけじゃないように。近年、カルロス・アギーレのようなミュージシャンにワールド・ミュージックの好事家の耳が集まっているけれど、キケ・シネシの本作もまた「タンゴ、それ以外」の音楽を切り開く作品だと思う。

このジャンル名に分類できない「良さ」は、クロスオーヴァーな「良さ」もまた、真に「ワールド・ミュージック」的である、とも思った。

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