死をめぐる連作歌曲

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青い犬の目―死をめぐる11の短篇
ガルシア・マルケス Garcia Marquez 井上義一
福武書店
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 ガルシア・マルケスの全小説が新潮社から出版されるというニュースがあり、私の周囲でもポツポツとマルケスの話を聞くようになった。読んだ方々が一様に「おもしれー」とおっしゃるので、私も読んでみることに。今回手に取ったのは『青い犬の目』という短編集。これに収録された作品は全て「死」を扱ったものであり、なんだか連作歌曲のような趣き。そこで取り扱われる「死」は具体的で肉体的なものもあり、抽象的で観念的なものもあり各々の作品は独立しているのだが、同時に連帯し合っているような関係を感じる。まるで漱石の『夢十夜』のような。


 表題作の『青い犬の目』は、夢のなかに登場する美しい女と男の交流を描いたもの。男は「目が覚めたら、君のことを探すよ」と女に語りかけるのだが、夢の出来事は全て忘れられてしまう宿命にある――『でも日中は何ひとつ思い出せないわ」と女は言う。もし男が女を道で見かけたとしても、男はそれに気付くことができない「ただひとりの男」へとなってしまう、この儚さがとても美しかった。夢のなかで束の間の逢瀬を味わい、そして目が覚めるたびに2人の関係は「死んでしまう」。


 それと『六時に来た女』にはヘミングウェイの短編を思い起こした。体臭がキツそうな男が出てくる感じがとても好きだ。





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