現代日本のピアノ音楽

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現代日本ピアノ音楽の諸相(1973-83)
オムニバス(クラシック) 志村泉 林光
コロムビアミュージックエンタテインメント (2005/12/21)
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 昨年は武満徹没後10周年だったのだが、それについてあるピアニストが「なんで武満ばかり特別視するんだ!」と憤っているのを読んでから武満以外の邦人作曲家に目を向ける使命感みたいなものを(勝手に)感じている。元から芥川也寸志、黛敏郎、伊福部昭などはよく聴いていたのだが、それ以外にも、と。


 邦人作曲家に関しては廉価盤レーベルNAXOSがシリーズを出しているのだが、そこで取り上げられるのは分かりやすい「日本情緒」を取り入れた作品が多く「日本のバルトーク」とか「第二の伊福部昭」みたいな人ばかりなので正直食傷気味。頼りになるのはDENONが積極的にリリースしている邦人作品のアルバムである。これも大部分が「CREST 1000」という廉価盤シリーズに入ってきて随分手ごろになったので喜んで買い漁っている。

 最近買ってみて特に面白かったのは『現代日本ピアノ音楽の諸相』という二枚組。1973年~83年の間に書かれた作品を集めた現代音楽コンピレーションみたいな内容で、取り上げられている作曲家は、林光、高橋悠治、戸島美喜夫、本間雅夫、間宮芳生、甲斐説宗、一柳慧といった戦前/戦中生まれの人から、佐藤聡明、細川俊夫そして坂本龍一という戦後生まれまで幅が広い。「名前ぐらいは…」という人もいるのだが*1、ほとんど初めて聴くような名前ばかりで大変ためになる。


 「一柳はオノヨーコの元ダンナだけあって理屈っぽい、ニューヨークっぽい曲を書くなぁ(全然好きになれないけど)」とか「坂本龍一はやっぱりポップ方面に言って成功だったなぁ(作品が本当に面白くもなんともない)」とか思ってしまうものがあったのだが、それ以外は好きな感じの作品。なかでも細川俊夫の《メロディアⅡ》という作品は素晴らしすぎて参ってしまった。

 これは非常に簡素な「旋律」を持った作品。音符で楽譜が黒く染まるぐらい複雑そうな作品ばかりのなかで、その極端な音の少なさが余計に際立つのだが「音と沈黙の関係性*2」を強く感じてしまう。音と音、音と沈黙が非常に強い緊張感を持って繋がりあう感じが素晴らしい。アルヴォ・ペルトなんかよりずっと音が美しく聴こえる。一瞬、ブライアン・イーノとも接続できるかと思ったけれど、ここまで音数が少なく次の音までの緊張を強いられると聞き流すことすら許されない。


 細川俊夫の先生はユン・イサン。「協和」というキーワードで影響を感じるところもあるのだが、ユン・イサンとは全く違う方向に進んでいる(っぽい)のもすごい。細川俊夫、今一番聴くべき作曲家かも。




*1:CD持っていてもあんまり聴いていない人とかもある


*2:これは武満作品のキーワードでもあった





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