ミゲル・デ・セルバンテス『ドン・キホーテ』(前篇2)

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ドン・キホーテ〈前篇2〉 (岩波文庫)
セルバンテス Cervantes 牛島信明
岩波書店 (2001/01)
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 2巻では、メタフィクションのなかに更なるフィクションが織り込まれ、セルバンテス(シデ・ハメーテ(登場人物の語る話×2+小説内小説))という入れ子構造でページが進みます(物語はあんまり進まない)。都合、3つほどの短編を読むことになるので盛りだくさん。小説内小説――これがまたがまた大学の相互行為論だのコミュニケーション論だので引用されそうな古典的な心理悲劇で良いです。――の「クライマックスはいかに……!?」という浦沢直樹ばりのヒキのテクニックで3巻へと繋いでいるので続きがとても気になります。


 本編の部分ではドン・キホーテの妄想具合がさらにヒートアップしてて「死に至る(中二)病」感があって良いです。とくに従士であるサンチョ・パンサに「ワシがイマイチ活躍できんのは、ワシの活躍を邪魔しようとする悪い魔法使いがいてだな……」と語りだすところとか良いんだよな。こう、若干笑えない感じが……原因を外部に無理矢理帰属させていこうというところに、スピリチュアルとか非モテに通ずるところがあって……なんて考えてしまったりする。


 あと今更だけど、ドン・キホーテのことって笑えないよねぇ。誰だって春樹読んで「やれやれ」とか言ってみたり、『Hanako』読んで新宿歌舞伎町のイタリアン・レストラン行ってみたり、『Tarzan』読んで筋トレしてたりしているわけで、現代においても様々なテキストがロールモデルとなっている。誰しもが「ドン・キホーテ性」を持ち合わせていると言っても過言ではないわけです。そういった意味で、マガジンハウスという会社は「ドン・キホーテ生産工場」とも言えるし、LOHASっつーのは現代における「騎士物語」とも意味づけられるかもしれない。適当だけど。


 ドン・キホーテは周りから完璧に「あっちの人扱い」されているおかげでそんなに問題ないんだけれども、サンチョ・パンサに「あっち(狂気)」と「こっち(正気)」の境界線にいるという性格が与えられてるところも面白いです。「あっち」と「こっち」のどちらを信じていいのやら……という微妙なところに踏みとどまっている。彼の世界に対する疑いはちょっと近代人っぽくて、もしかしてサンチョはこの小説で唯一の近代人なのかも……とか思う。





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