ブルーノ・シュルツ『シュルツ全小説』

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シュルツ全小説 (平凡社ライブラリー)
ブルーノ シュルツ
平凡社
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 ブルーノ・シュルツの作品は、先月に『肉桂色の店』と『クレプシドラ(砂時計)サナトリウム』からの抜粋を読んだばかりだが、せっかく全集版を買ったので頭から読んでみることにした。余程のことがない限り私は同じ本を読み返したりしないのだが、読んだばかりで再読しても「面白い!」と思う。以前読んだ「東欧の文学」シリーズに収録されていない作品も面白い。なかでも「年金暮らし」という短編――年金暮らしで暇をしている初老の男が小学校に再入学して幼児退行。最後は強風に飛ばされてどこかへと消えてしまう……という話が良いと思う。


 なんだかよくわからないが、とにかく面白い。しかし、その「なんだかよくわからない感じ」はちょっとした不安を呼び起こすものでもある(なんだかよくわからないから)。けれども、それこそがシュルツの作品の魅力であるように思う。伝わりにくいと思うけれど「やけにゆっくりと落ちていくジェットコースター」みたいな感じがする。前回読んだときより丁寧に読んだせいか、そういうのが一層感じられた。


 それから前回は2段組の本だったけれど、今回は1段組。これは結構印象が違ってくるものだなぁと思う。まず、ページをめくる回数と速度が必然的に異なってくる。当然、2段組の単行本サイズのほうが文字量が多いのでページをめくる回数は減り、1ページを読み終えるまでにかかる時間は長くなる。一方で1段組の文庫サイズでは逆のことが起きる。しかし「私が読んでいるスピード」にはほとんど変化はない。にも関わらず、文庫のほうが体感時間を短く感じる(ページをめくる回数が多いからだろうか。1ページを読む時間が短くなるからだろうか)。さらにそれに伴って文体まで「速い文体」に読めてくるのである。


 情報は同質であっても、伝達される内容が形式によって異なってくる感じ。こういう実感があると、読書って単に目と頭で情報を受ける/読み取る行為ではなくて、かなり身体的行為なのかな、と思ってしまう。





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