集英社「ラテンアメリカの文学」シリーズを読む#18 ブライス=エチェニケ 『幾たびもペドロ』

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幾たびもペドロ (ラテンアメリカの文学 (18))
ブライス=エチェニケ
集英社
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ほとんど丸5年かけてようやく集英社「ラテンアメリカの文学」シリーズ全18巻を読了する。最後はペルーのアルフレード・ブライス=エチェニケの『幾たびもペドロ』である。このシリーズの並びは作者の生年の昇順となっているので、ブライス=エチェニケはもっとも若い(と言ってももう75歳になっているが)作家である。同じペルーのバルガス=リョサとは3歳しか変わらないのだが、彼を含む「ラテンアメリカ文学ブーム」の作家たちが1950年代から作品を発表していたのに対して、ブライス=エチェニケは60年代末にデビューしている。訳者の野谷文昭によれば「バルガス=ジョサ以後のペルーで最も嘱望される作家」、「ラテンアメリカの〈ポスト・ブーム〉の世代を代表する存在」とのことである。この翻訳がでたのが1983年。30年以上経過しているが、その後日本での紹介は進んでいないらしい。本書以外に翻訳もでていない。

正直、この作品も苦手な部類の小説だった。主人公のペドロは中年の「書けない作家」で、仕送りを受けながら、ファム・ファタールたる女を追っている。その最中に、いろいろな女性をひっかけていく。ブロンズ製の犬の銅像を鞄に大事に抱えながら、フランスやメキシコ、アメリカといった土地を遍歴していく。特段これ以外、筋らしい筋もなく、あんまり盛り上がりも感じさせないまま、作品は閉じられる。ジャズやロックや映画といったポップ・カルチャーがアメリカから流入し、小説にもそういう風俗が反映されているのだけれど、こういうのは「ラテンアメリカの文学」シリーズには珍しくないし、だからなんだ、という気がする(解説では、そう描写がさも大事なことのように書かれているけれど)。

最後の巻がこんな感想になってしまって、若干寂しさはあるが、このシリーズを読み切らないかぎり、ほかのラテンアメリカの小説には手を出さないゾ! と心に決めていたので無事完走したことを喜ぶことにしよう。「ラテンアメリカの文学」シリーズの感想へのリンクはこちらにまとめてあります。

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