谷川健一 『古代史ノオト』

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古代史ノオト (1975年) (日本古代文化叢書)
谷川 健一
大和書房
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昨年亡くなった民俗学者、谷川健一の広い関心を知るにはこの本が良いのかも。雑誌連載をまとめたもので、神々が卵から生まれるという卵生神話と人間の魂の容器としてのひさご(瓢箪)信仰との関連や、沖縄のシャーマニズム、あるいはサルタヒコ神話の形成などのテーマを扱っている。民話や伝説に存在する名詞を古い地名や方言などと対応させ「◯◯の起源(舞台)は、コレに違いない!」と確定していく手法は、民俗学プロパーではないわたしには、どれほど学術的に正統なものなのかはわからないのだが、諸星大二郎の『妖怪ハンター』シリーズのようでとても面白い。谷川を読めば読むほど、諸星への影響を強く感じてしまう。

とくにアマテラスが元々は「海(アマ)テラス」として崇められていたのが、聖地が東へ、東へと移されていき、伊勢へと置かれた頃には「天(アマ)テラス」に変化していた、という説はなかなか刺激的である。そこでは水平方面の信仰が、垂直方面に転換されてしまう。ここには谷川の古代史観が強くあらわれているように思う。南方から琉球諸島を経て日本列島にやってきた人々と、朝鮮半島からやってきた渡来人。ふたつの日本人のルーツは、どちらも神話や伝説をも輸入する。海の向こうからなにかがやってくる。信仰の方向転換には、そうした外から(外国から)のルーツを隠蔽するものがあったのだろう。海の向こうからではなく、天から神々がやってくることにすれば、独立したルーツを設定できるのだから。

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