cero
カクバリズム (2014-12-17)
売り上げランキング: 942
ちょっと前から名前をチラホラ見ていたけれど、華麗にスルーし続けていたバンド、ceroのシングルを聴く。Youtubeで「Orphans」のPVを見て、一発でグッと気に入ってしまった。なんでしょう、これもここ数年音楽関係のコラムを読んでいると「シティポップス」というキーワードをよく目に入ってくるような気がしているけれど、そうだ、この音楽の柔らかさと「助手席に女の子を乗せて運転するときに聴いていても大丈夫な」感じはそういう言葉を彷彿とさせるし、ほんの少し不安定なヴォーカルの声は、堀込泰行みたいだし、ポストFishmansの大本命的というめんどくさい受容をされそうでもあり、Super Butter Dogとかも思い起こさせる。いや、良いんだ。こうして固有名詞を並べて、なにかを理解した気になることはとても愚劣なことだ。
「Orphans」Official Music Video
大変消費的に音楽とつきあっているせいか、音楽を聴いていてそんなに歌詞が頭に入ってくることってないんだけれども、これはなんと良い歌詞なんだろうな、と思った。青春ソングっぽい感じはあるんだけれど、べったりして汗臭い感じじゃ全然ない。ほんのりとした孤独、というか、切ない感じ。でも、それが救われない歌詞じゃなくて、ささやかな幸せというか、希望みたいなものが感じられて、なんだこの良い塩梅具合は。びっくりだった。で、この「Orphans」がもう1つのA面曲「夜去」へとリニアにつながっていく。そこでまた世界が変わる。ブラックな感じがドッと濃くなって、そして最後のオザケンのカヴァー「1つの魔法 (終わりのない愛しさを与え)」でまた、カラリとしたファンクを見せてくれる。たった15分のなかに、こんなスゴいバンドでてきてたのか、日本のポップス界エラいことになってるのか、っていう驚きがいくつもある。本人たちは全然「音楽シーン変えてやるゼ」みたいな気負いがなさそうなのがまた良い。
(追記)その後、「Orphans」の歌詞の解釈について、重要な点を示唆していただき、めちゃくちゃに震えています。
コメント
コメントを投稿