(2015-01-13)
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7年かけて書いた博論を提出間際のひとりの研究者が、いったいなにを考えていているのか、などは一般的な興味をそそるところではないと思うのだけれど、博論を書く人というのは、こんな最先端を行かなきゃいけないのか〜、と感心した。「平均的な博論生」みたいな基準を知ってるわけではないから、アダムさんがすごいのかどうかはわからないし、内輪の話になっちゃうけど「筆が遅い」とか「日本語で書くとセクシーなのに……」とか怒られているところばかり知っているから、実はすごくないのかもしれない。いや、でも「こんなに読まれてないものがある」とか「わかってない部分がこんなにある」とか、そういうフロンティアへの取り組みの話って、たとえ門外漢であっても、ワクワクするし、面白く読める話だと思った。
特に人文系学問の世界のフロンティアって、あまり話題にならないじゃないですか。理系なら、iPS細胞が、とか、宇宙誕生の謎が、とか、炭素繊維が、とか、そういうところにフロンティアがあって、それはニュースにもなるし、『Newton』なんか手に取ったら毎回面白い話が載っている。開拓領域が周知されているのだ。それに対して、人文系の学問、とくに哲学など「もう大抵わかってるんでしょ」、「みんなやることなくて重箱の隅をつつくような研究してんでしょ」とか、そんなイメージ持ってるんじゃないでしょうか、大抵の人が。でも、この「放談」を読むと「いや、全然フロンティアあるよ」って話になる。しかも、それをやってるのが日本人だっていう。それはロマンあるでしょう。社会に貢献する話じゃないかもしれませんけども。
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