戦場で紡がれた思索

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俘虜記
俘虜記
posted with amazlet on 06.06.22
大岡昇平
新潮社 (1967/08)
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 大岡昇平を初めて読む。「何故、アメリカ兵を撃たなかったか」という思索よりも、俘虜の頭の中に浮かぶ「どうでも良いような問題」の方が面白かった。人間というのは暇な時間があると色んなことを考え付くのである。それは信仰の問題であったり、俘虜が唄う俗歌が帯びる西欧音楽の影響であったり、男女の性の問題であったりする。俘虜の身でそんなこと考えてどうするんだろう…、と思うのだけれど。インテリが故に考えなくてはいけない、考えることが浮かんでくるというのも少し煩わしいんじゃなかろーか。





 俘虜生活というとまるで古代の奴隷のように働かせられているイメージを抱いていたのだが、全然そんなことはなく、盗みはするは酒は飲むはですごくユルい。主人公、大岡が米軍に捕まる前までの戦場経験は凄惨過酷で「うーむ、こういう経験をしている人の言葉は重いんだろうなぁ」などと思うのだが、捕まってからはどんどん生活が柔らかになり、花輪和一『刑務所の中』を凌ぐユルライフを過ごしているようにも思えた。





 大岡昇平にこの小説を書かせるキッカケとなった小林秀雄の「何でもいい、書きなせぇ。書きなせぇ。他人の事なんか構はねえで、あんたの魂のことを書くんだよ。描写するんぢやねえぞ」という言葉は私には無性に良い言葉に思えた。作者の「魂」を描く芸術作品、なんていうのは過度にロマン化された考えだけれど、惹かれるところはやっぱり存在する。作者の意図はどうあれ「あぁ、これは気合っつーか魂を感じるなぁ」と熱く信じさせてくれるような作品に触れていたい。





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