読売日本交響楽団第521回定期演奏会 @サントリーホール 大ホール

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プログラム
指揮=尾高忠明
マーラー:交響曲 第9番 ニ長調
今シーズンで読響定期会員も3年目なんだけどもこれまで12月の定期って間違えて他のコンサートのチケット買っちゃったり、仕事がアレだったりして行けてなかったのだ。個人的に曰くつきな12月定期だが初尾高忠明、初マーラーの交響曲第9番である。日本よりもイギリスでのほうが人気がある指揮者だそうで、イギリスに留学した友人からはたまたまホームステイ先がクラシック好きだったらしく、尾高忠明と武満徹の話ばかりされた、とか聞いたことがある。とはいえこの晩の楽しみは、昨シーズンで退団された藤原浜雄のコンサート・マスターで客演することだった。

いや、素晴らしかったですね。はっきり言ってこの楽曲、音を並べただけでちょっとふざけた感じになってしまう曲ではないですか。それを過剰にふざけた感じにしてしまうとバーンスタインの激烈に耽美な演奏になってしまう。そこで煩悶するようなテーマの繰り返しはマーラーの晩年の苦悩と重ねられてロマンティックに読まれることになる。一般なマーラーのイメージとはそうした退廃に近い空気を持った音楽でしょう。

尾高忠明のマーラーはそうではなくて、ユニークな作曲家としての姿を純音楽的に表現するようでした。音楽の外側にある情報、マーラーの生涯や19世紀末の状況(この楽曲の初演は20世紀に入ってからですが)を遮断することはできませんが、そこから離れて、音楽を聴かせてくれる演奏でした。こんなに濁りのないマーラーがあって良いのか、と思いましたし、初めて生で聴いてみて「これはこんな音の重ね方をしてたのか!」と驚かされることも多々。

ただ、そうして分析的に聴けたのはあくまで第3楽章までで、第4楽章はもう、なんだか、すごかったんですよ……。

濁りのないマーラーの世界はそのままなんだけれど、とにかく冒頭から弦楽器の音の密度がエラいことになっており、これがイギリスで認められる尾高忠明の音楽なのか! と驚かされました。異様に荘厳だったんですね。曲はダイナミックに変動していくんだけれど、音の雰囲気は荘厳さを保ったまま進んでいく。動いてるのに安定してるように聞こえるアンビヴァレントな感覚、と言いましょうか。それが衝撃でした。終盤は逆に音をどんどん抜いくんだけれどもそこでの緊張感感と言ったら身動きがとれないぐらいでしたよ。今シーズンの読響定期では一番印象的なフィナーレ。藤原浜雄のソロも良かったし、大満足。

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