著者の空海解釈は、風雅・成仏・政治という3つのステージで分かれている。これをザックリ説明すると、自然の美しさやあり方(風雅)を身体に取り込むことによって、この世のなかがすべて仏でできていることを理解し(成仏)、世の中が全部仏なのだとしたら上手いこと世界を良くしてかなくちゃいけないよね(政治)、っていう感じみたい。「即身成仏ってそういうことなの〜、汎神論みたいな感じなんだ〜(即身仏とは関係ないのか〜)」とか、万物はすべて言葉によって認識されるし、その言葉はすべて仏なので、万物は即ち説法なのである、とかいう説明は面白い部分もあるのだけれども、ほんのわずか。即身成仏の認識から政治へ、っていうのが、プラトンでいうところの哲人国家の理想と重ねられるようなのだが……うん、で? で終わってしまう。
こうした空海の思想は日本思想に受け継がれ、変奏されていくのだ! というパートもなかなかのヒドさで、九鬼周造とか西脇順三郎とか草間彌生(!)とか名前を出して、何かを言っているつもりなのかもしれないが説得力を感じません。こんなところが通じている、こんなところが似ている、と指摘の羅列だけで変奏の説明はないんすね……、こういう話、私も深夜のファミレスでゲラゲラ笑いながらしてそうです……本当にありがとうございました……。
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