『古事記』

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古事記 (岩波文庫)
古事記 (岩波文庫)
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倉野 憲司
岩波書店
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平田篤胤だの谷川健一だの諸星大二郎だの読んでるくせに『古事記』は初めて読むのだった。あれでしょ、イザナギとイザナミが……えーっと、天照大神が洞窟かなんかにこもってて、ナントカって人が女装して八岐大蛇を……みたいなことだけ書かれているのかと思ったら違うのね。もちろん、世界の創造からはじまる神話ではあるのだけれど、それは上つ巻までで、中つ巻・下つ巻は天皇がアレコレやりましたよ、というお話になってくる。そして、神話よりも中つ巻・下つ巻のほうが面白い……! これが本当に記録だったとしても、なぜそれを記録した……? と首をかしげたくなるエピソードが満載。

中つ巻以降では、天皇が誰とセックスして、どんな子どもを儲けたか、だとか旧約聖書でいうならばツラツラと人名が書かれてるだけの部分はちょっと退屈なんですが、親戚同士で殺しあいばかりしてますし、美女を見つけてはセックスし、なにか気に障ることがあればその相手を焼き討ちにして、その合間に和歌を詠む……などと性と暴力が満載なのに風雅……というハンバーグカレーにパフェをトッピングしたかのような謎の面白さが展開されています。「これはヒドい」のオンパレードですよ。天皇が自分の家に似てる家を見つけたからといって家に火をつけたり、逆に火をつけられてるのに歌詠んでたり……腰が抜けそうになります。

なかでもヒドかったのは「赤猪子」のエピソードでしょう。こちらのブログでも内容のヒドさについて言及されていますが、なんと言いましょうか、天皇の人格的なヒドさと年を取ることの侘しさ・悲しさが詰まった深い話です。ある日、雄略天皇が道ばたで見かけた美少女に「お前、いつか結婚してやるから独身でいろよ」と言って80年間放置プレイし、老婆になった元・美少女が「あのときの約束は……」と聞きにくる(それは忠信の証でもあったわけですが)。それに対して「わたしはすでにかつてのことを忘れてしまった。けれどもお前はわたしの命令を待って、無駄に年を取らせてしまった。これはとても可哀想だなあ」と思った天皇は、可哀想だからセックスしてやろう、と思うんだけれども、ババアだから果たせない!!!!! ヤヴァイ!!!!!!!!!

と、ヒドい話を見つけてはゲラゲラ笑うだけではなく、挿入されている和歌も読んでみると面白かったです。受験生以来、いわゆる古文からはすっかり離れていますが『古事記』を読んでて、受験にでてくる古文のほうが難しいと感じました。『古事記』は普通に読める部分のほうが多い。だから、そんなに心配しなくても大丈夫です(面白いし)。逆に、昔の言葉を覚えないと読めない受験古文は、いびつな教育と言えるのかもしれない。


こんなこと覚えなくても全然読めるんです!!!!! じゃあ、なんのためにこんなの覚えさせたりするかって、勉強ができるかどうかを測るためにあるんですかねえ……。それはとても悲しいことだ……。

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