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プラトン 『ティマイオス』(5)




原文


Timaeus
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 ソクラテスよ、今私が話したことがソロンがはじめに伝えたように私の祖父であるクリティアスが語った話の簡潔なところです。昨日あなたが政治と人々について話しているあいだ、私はこれらのことを思い出し、またソロンが話したこととあなたの考えが超自然的名偶然によってまったく合意していることに驚いていたのです。けれども、私はその場ではこれを言いたくありませんでした。私がこの話を聞いたのはずいぶん前の話でしたし、私はソロンの話をあまりよく覚えていませんでした。そしてまずはこの話全体をよく思い出す必要があり、そして話す必要がある、と思ったのです。だから私はあなたの昨日の課題に早く同意したのでした。このような状況においてもっとも重要な課題は、人々が期待しているような話を提供することです。また、これを私が話したなら、ここにいる人は快く受け取ってくれるだろう、と考えました。ヘルモクラテスがすでに言ったとおり、昨日ここを離れるとすぐに、彼とティマイオスにこの話を繰り返し始めたのには、こうした実状があるのです。彼らと分かれた後に、一晩中集中して、どうにか全体を思い出すことができました。彼らは言いました。子ども時代に教えられたことは特別な方法によって保持されている、と。まったくそのとおりでした! 私の場合、昨日聞いたこのならなんでも思い出せるかどうかわかりません、しかし、この話のあらゆる部分が出てきたのならばそれは驚くべきことでしょう、なにしろ、私がそれを聞いてからずいぶん長い時間が経っていますから。私がそのとき聞いたものごとはとても子どもらしい喜びを与えてくれました――私がいくつもの質問をするものですから、老人は熱心に伝えてくれました。だから、その話は私のなかに焼きついて消せなくなった絵のように留まっていたのです。そして今朝、私はこの話の全体をティマイオスとヘルモクラテスに話しました。そうして私だけでなく、彼らもまた私たちが話す素材を手に入れることができたのです。


 ソクラテスよ、私はすっかりこのソロンの話を準備するまでについて話してしまいました。私は主要な点だけを話すのではなく、ひとつひとつ詳細に私が聞いたとおり話したかったのです。私たちは昨日あなたが話してくれた古代の流儀における市民と都市を、古代のアテネ自身に置き換えてしまうでしょう。そして、あなたが想像した市民が、あの神官が話していた私たちの先祖そのものであると言いたいのです。あなたが想像した市民がかつて本当に存在していたのだとするならば、その一致は完璧なものとなり、私たちの歌は調性がとれたものとなるでしょう。私たちはその課題を分かちあい、そしてその課題に対して充分に答えられるよう全力をつくすつもりです。あなたはどうお考えでしょう、ソクラテス? 私たちが話したようにするべきでしょうか? それとももっと別なものに話を変えるべきでしょうか?


ソクラテス:おお、クリティアスよ、これよりも優れた弁論をほかに誰ができるだろうか? 女神の祭典を祝う最中にあって、この弁論はとてもこの状況に相応しい。これよりも適したものはないだろう。もちろん、それが作り話でなく、本当の説明であっても些細な問題にもならない。これを続けなければ、いったいどうして、どこにいけば他に祝うためのものを見つけられるだろうか? 選択の余地などない。君たちの話を続けたまえ、さあ! 私は座って君たちの話を聞く側にまわろう。昨日のお返しとしてね。


クリティアス:わかりました、ソクラテス。あなたは客人であるあなたに贈り物をしようという私たちの考えをどのようにお考えでしょう? 私たちは次にティマイオスが話すべきだと考えています。彼は天文学の専門家ですし、宇宙の自然について学ぶことが彼の本業なのですから。彼は世界や人間の自然のはじまりについてはなしてくれるでしょう。そうすれば、私は一度にティマイオスの人間の起源に関する説明と、あなたのどのようにして人々は優れた教育を受けるようになるかに関する説明を知ることができます。私はそれらを単にソロンの説明だけではなく、彼が作った法律が示したであろうものとして、法廷へと導入し、そして、我々を低い身分から救ってくれるような聖なる記録に伝えられる、アテネの古き良き時代の人々たちのように人々を変えるつもりです。そうすれば、そうした素晴らしい人々を実際のアテネ市民のように語ることができるでしょう。


ソクラテス:私へのお返しとしてこの素晴らしい弁論の饗宴を私は完全に受けとってしまうつもりだよ。素晴らしいじゃないか、ティマイオス、次の話し手になる義務が君にめぐってきたようだよ。私たちがいつもするように、神を称えようじゃないか。





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