ミハイル・アファナーシエヴィチ・ブルガーコフ 『悪魔物語・運命の卵』

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悪魔物語・運命の卵 (岩波文庫)
ブルガーコフ
岩波書店
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ロシア革命後のキエフ(現在のウクライナ)で執筆活動をおこない、生前はソヴィエト当局からの弾圧を受けていた作家、ブルガーコフの中編小説を読む。この人の作品では(わたしは未読だけれども)『巨匠とマルガリータ』が、めちゃくちゃに体制批判をおこなっていたことで有名だが、ここに収録されている『悪魔物語』(1923)と『運命の卵』(1924)を読んでも弾圧を受けるのもおかしくないと思ってしまった。

とはいえ、彼の表現は、あからさまに攻撃的なわけではない。グロテスクなユーモアとでも言おうか、共産主義体制での生活の不自由さや不条理が諧謔たっぷりに描かれていて、読んでいてゾクゾクくる。それがまた、過去の、遠い国の、いろんな事情が異なっている状況での、不自由さや不条理ではなく、今の時代と通じてしまう表現なのだからなおさら恐ろしくもなる。

陳腐な表現を使えば、そうした普遍的な不自由さや不条理をカフカ的と言ってしまえるだろう。しかし、ブルガーコフはカフカよりもずっとふざけている感じがある。ナンセンスな会話のやり取りの上手さは彼が劇作家でもあったことに由来するんだろうか。とくに古典的SFパニック映画的な『運命の卵』は素晴らしい。偏屈な動物学の教授が発見した、生物の成長を異常に促進する光線によって、恐るべきモンスターが生まれてしまう……という『ゴジラ』か『バイオハザード』かという話ではあるのだが、すごくキマりまくっている。

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