外山ひとみ 『女子刑務所: 知られざる世界』

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女子刑務所 知られざる世界
外山 ひとみ
中央公論新社
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20年以上にわたって日本各地の刑務所を取材していた写真家、外山ひとみによる女子刑務所に関するドキュメントを読む(著者は今年急逝)。収容過剰状態になっている女子刑務所の実態や、女性刑務官の仕事ぶり、育児ノイローゼで児童虐待の末子供を殺してしまった女性や覚せい剤で捕まった女性へのインタヴュー(女性の受刑者の罪状で一番多いのが覚せい剤取締法違反なんだって)などなかなか濃い内容。加えて少年院にも取材している。副題の通り「知られざる世界」へフォーカスを当てた仕事ぶりはすごい……のだけれど、雑誌連載時の掲載誌が『婦人公論』というまぁほとんどゴシップ誌みたいな雑誌だったからなのか、登場する女性の描き方には違和感をぬぐえない部分もある。育児ノイローゼで子供を殺しちゃった女性にしても、覚せい剤で捕まっちゃった女性にしても、あるいは女性刑務官にしても「母親である」というところが強調されてるのである。

たとえば女性刑務官は「大変な仕事だけど、こんな工夫をして母親も両立しててすごいね!」っていう感じで登場するし、受刑者にしても更生するなかで母親として目覚めました的な感じ。育児ノイローゼなんか良き母親像のイメージから抑圧なんかも原因にあるだろうに、犯罪の原因が受刑者の母親性の欠如にあるとも読まれかれないと思った。育児ノイローゼの女性は夫がギャンブル中毒でお金がなく、育児もやらず、自分で夜の仕事をしながら育児をするしかなかった。覚せい剤の女性も内縁の夫からすすめられて薬にハマってしまった……とか、環境にも問題があるのに、オチが全部「刑務所に入って魂入れ替わりました(出所したら子供一番で生活します。薬も二度とやりません)」みたいな感じなんだもん。なんだ、女子刑務所っていうのは母性教育施設なのか……?

とイチャモンをつけたくなってしまったのだが、基本的には良い本。女性犯罪史にも触れられていて、本書で「戦後の日本での女性の死刑囚は14人」という事実を知った(Wikipediaにもページがある)し、女性の受刑者と男性の受刑者の数を比べると男女比が1:12になっちゃうとか結構驚きだった。アリス・ゴッフマンの著作を読んでいても感じたけれど、犯罪の世界も男性社会なんだなぁ、と思う。

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