アルバン・ベルク四重奏団解散公演@サントリーホール

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ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第15番&第16番
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 解散が決まっているアルバン・ベルク四重奏団のフェアウェル・ツアー、日本公演の最終日を聴きに行ってきた。曲目は、ハイドンの弦楽四重奏曲第77番、ベルクの弦楽四重奏曲、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第15番、という3曲。


 解散の理由は、メンバーが語るように「技術的な衰え」に所以しているように思われる。しかし、これは「メンバー全体」のというよりも、本当のところ、第一ヴァイオリン奏者のギュンター・ピヒラーに大きく要因があったのではないだろうか。今日の演奏だけで判断するのは大きな間違いかもしれない。しかし、速いパッセージでの発音がやや曖昧になりすぎているところが目立ったように思う。付け加えて、音程がやや低めで四重奏のなかで一人だけ、ピリオド奏法のようなピッチになっているのが気になった――高齢になると、音程が高く聞こえることがあるという。ピヒラーにもその症状が出ていたのだろうか?


 とはいえ、音楽の組み方、流れの作り方は素晴らしかった。これはもう絶品としか言いようがない。書かれた楽譜をどのように解釈するか、これについては演奏家の自由であって、本当のところ「正しい解釈」、「正解」といったものは存在しない。しかしながら、アルバン・ベルク四重奏団の演奏には常に「限りなく正解に近い理想形の“ひとつ”」といった姿があるように思われてならない。


 しっかりとした長さと作りがあるにも関わらず、どこか小品めいた音楽に聞こえてしまうハイドンの可愛らしさや、ほとんど理解を阻むように書かれたベートーヴェンの構造をエレガントに聴かせてしまうところは素晴らしかった。なにより、ベルクの弦楽四重奏曲は圧巻だった。ベルクの無調作品をロマン派の系譜へとガッチリはめてしまうような見事な演奏だったように思う。


 とても感慨深く、また、複雑な気持ちになった演奏会だった。素晴らしい演奏だったのは言うまでもない。しかし、アンコールで演奏されたベートーヴェンの第13番の5楽章が終わり、満員に近い観客の誰もが拍手できず、誰かを追悼するかのような長い沈黙がホールに訪れたとき、ひどく寂しくなった。客席になにか大切なものを置き忘れてきたみたいな、そういう気持ちにさせられながら会場を後にした。



ベルク:弦楽四重奏曲
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