鳥のポリリズム・ファンク

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 いやー、すごいの見つけてしまった。

 映像はオリヴィエ・メシアン*1の《異国の鳥たち》です。演奏は現代音楽界の頂上に君臨し続ける“法皇”ピエール・ブーレーズの指揮、そしてその手兵であるアンサンブル・アンテルコンテポランによるもの。この現代音楽グループですが、ブーレーズが現代音楽を演奏するためだけに結成したフランスの超絶音楽エリート集団なのですが、まぁとにかく上手い。こんな「最強の手足」を持っているうえに、ウィーン・フィルもクリーヴランド管も振る権利も与えられているブーレーズは現在最も恵まれた音楽家なのかもしれません。


 ピアノを弾くのはこのグループにも籍を置くピエール・ローラン=エマールという人。ソリストとしても活躍し、世界の現代音楽演奏家の最高峰だけあって涙が出るほど鮮やかに複雑な音楽を聴かせてくれます。いつごろの演奏かよくわかりませんが、ヴィジュアルも素敵です(Dr.スランプのターボくんみたいで)。細やかなタッチの加減やペダル・コントロールが上手すぎて鳥肌が立ってしまう。



D(続き)


 メシアンと言えば「鳥の声を採譜して音楽に取り込んだ」という“変人的エピソード”が最も有名な特徴となっていますが、《異国の鳥たち》もタイトルの通り、フランス国外に生息する鳥の鳴き声が作品のなかに含まれています(実際、スコアの指示でも無い限り「野鳥研究家」でない私の耳にはどれが正確に「鳥の声」なのか判別することはできませんが)。


 それから私の拙い耳には、後半の演奏で訪れる複数のリズムが聴取不可能なものとして響いてくる。この部分、《春の祭典》の生贄の少女が裸足で逃げ出してしまうほどバーバリックでカッコ良いんだけれども、驚くべきはこの作品が1956年に初演されたという事実。ジェルジー・リゲティが乗り越えなくてはいけなかった壁は既に彼がポリリズムへと向かう30年近く前に完成されてしまったのかもしれない、と思ってしまいました。メシアンは偉大!



メシアン:トゥーランガリラ交響曲
ナガノ(ケント) メシアン ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 エマール(ピエール=ローラン) キム(ドミニク)
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 紹介した演奏はこのままCDにしちゃっても一向に構わないレベルのものでしたが、惜しいことにこの組み合わせによる《異国の鳥たち》の録音はリリースされていない模様。お茶を濁すようにエマールが独奏で参加している《トゥーランガリーラ交響曲》を挙げておきます。ライヴ録音とは思えない完成度で迫ってくる名演。


 ブーレーズは《トゥーランガリーラ》を一生録音しないままなのだろうか。






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