キース・ジャレットはキース・ジャレットだ

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Fort Yawuh
Fort Yawuh
posted with amazlet on 07.02.04
Keith Jarrett
Impulse! (1999/09/21)
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 マイルス・デイヴィスのグループに関ったピアニストのなかで最も頑固だったのはキース・ジャレットだったのではないだろうか、と思いながら1973年のリーダー・アルバム『Fort Yawuh』を聴く。このアルバムはECMではなく、それ以前のインパルスに所属していたときのもの。


 ECM時代のキース・ジャレットと言えば『ケルン・コンサート』のような即興演奏だとか、スタンダードもの、オーケストラ作品(キース・エマーソンみたいなピアノ協奏曲を書いてる)、あとはチェンバロを演奏してバッハやショスタコーヴィチを取り上げたものがあるが、インパルスでのアルバムは「真っ当なフリー・ジャズ」(変な表現だけど)に取り組んでいる。この時期の録音では『生と死の幻想』が最も有名だろうか――タイトルもすごいけど、独特の美意識が誇大化してる感じが濃ゆい。それと比べると『Fort Yawuh』は、まだスッキリとしてる印象があり、マトモである。あとポール・モチアンのドラムがファンキーなプレイを聴かせる部分があるのも珍しい気がする。

 「キース・ジャレットはキース・ジャレットだなぁ」と思ってしまう。コード進行やフレーズを作るときのクセだとかはもちろん、どこにでもキース・ジャレットっぽい「美意識」を主柱に使って音楽を使っているところにジョー・ザヴィヌル、チック・コリア、そしてハービー・ハンコックにはない「頑固さ」を感じる。特にハービーと比較してみると明確に違いが分かるのではないだろうか。ハービー・ハンコックがアフロ・アメリカン的な音楽(あるいはマイルス・デイヴィスの音楽語法)を極めてソフィスティケイトしたジャズ(あるいはファンク)のなかでスタイルを変化させているのに対して、キース・ジャレットの美意識は決して「黒人性」に回収されないところで形成されているように思う*1


 もっとも、その部分の評価はもう好みの問題である。個人的には「何枚か聴けばあとは良いかなぁ……」という程度に好き。特に即興演奏もの。いかにもアーティスト然とした雰囲気のある音楽をやるので「神がかり」とか言われて人気があり、チケットの値段も高いんだけど、そこまで有難がるものではない気がする。インパルス時代のアルバムの方がそこそこ聴かせるし、「神がかり」というならマイルス・グループ時代のキーボード・プレイの方がキチガイじみていてしっくりくる。




*1:『Fort Yawuh』のクレジットには『Kundalini Music』とのクレジットがあるんだけど、これ事務所かなんかの名前なんでしょうか。『インド!』という感じだ





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