福田和也『奇妙な廃墟――フランスにおける反近代主義の系譜とコラボラトゥール』

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 id:la-danseさんよりお借りした本。「アドルノやデリダが共通して直面していた問題がなんなのかわかると思う」とのことだったのだが、その意図が直球で伝わりました。アドルノ的な問題圏のなかで本を読み進めていたのですが、この著作のなかで取り上げられているフランスの反近代主義者が敵対する近代主義、あるいはその特徴でもあるヒューマニズムが孕んだ問題は、アドルノ-ホルクハイマーが繰り返し指摘した近代批判そして同一化批判と通ずる部分があるように思います――「人類はみな兄弟である」、「人類はみな平等である」というようなスローガンが、個人と個人、社会と社会、人種と人種の間にある差異を駆逐していく……そのような暴力/不実を彼らは告発しているところとか。私はこの本を読んで、アドルノが「いかに危険であるか」について漸く理解できたように思います(良い勉強をさせていただき、本当にありがとうございました)。


 と、ここまでは私信的なご報告。簡単な感想も書いておきます。本の内容については以下にアマゾンに掲載されている紹介文を引用。



祖国を売り、ナチズムに加担する文学を作ってきたことでフランス文学史上、数々の伝説や悪名で彩られてきたコラボラトゥールの作家たち。しかしヒューマニズムに抗して闘ったその思想はパウンド、ブランショなど20世紀の知性に大きな影響を与えた。19世紀の反近代主義者の思想や手法から始まり、中心的な運動を担ったドリュ・ラ・ロッシェル、ブラジヤック、ルバテら、戦後における継承者ニミエにいたるまで、統一した視点からファシズムと文学・思想を検証し、近代フランスの歴史観に挑戦する渾身の処女作。



 フランス革命以降の近代フランス史でありながら、作家の評伝も兼ね、そして作品論も同時に展開しながら、思想の分析が挟まれる……という異常な密度。過去20年間に出された文芸評論のなかでも最大の名著、と位置づけられる作品だそうですが、普段文芸評論などまったく読まない私でも小説以上に興奮させられるような驚異的に内容の濃い本でありました。しかし、絶版。昨日チェックしたときは、990円でユーズド出てたのに……(買っておけば良かった……)。





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