9月のパリ旅行の際に「あ、せっかくだからバンド・デシネ(フランスの漫画)買ってかえるか!」と思って、ヴァージン・メガストアにてメビウスことジャン・ジローの代表作のひとつ『Arzach』を購入してたのだった(上記書影はドイツ語版。フランス語の原書は今のところAmazonでは買えないみたいだ。ほとんどセリフがない漫画なので、言語はとくに問題ないでしょう。あと画集も一冊買ったけど、それは友達にお土産であげた)。宮崎駿が「ナウシカは『Arzach』の強い影響かにある」と発言していたり、大友克洋はメビウスから影響を受けているとかは聞いていたけれど、実際に読んでみたら「え!? こんなにそのまんまなの!?」ととても驚きました。粘菌や王蟲、メーヴェ、ユパ様、ドルクの聖都シュワらしきモノが『Arzach』には描かれている。
この漫画自体は、程度の低い下ネタだったり、ストーリーとも言えない短いエピソードのあつまりなのですが、宮崎駿はここにあるヴィジュアル・モチーフから『ナウシカ』の壮大な物語を組み上げたのだなあ、と思いました。あと大友克洋とメビウスの重力感に通ずるものを感じたり。擬音の書き込みも一切なく、サイレント・コミックという表現に相応しく、翼竜が滑空するコマがとても静かに流れていくのが観ていて気持ちよい。アメリカのヴィジュアル・ノヴェルとも違った漫画言語(とも言うべきもの)がメビウス、というかバンド・デシネにはあるのだなあ、と思いました。
ニコラ・ド・クレシー カネパ、バルブッチ、その他
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日本にはこういうバンド・デシネを中心としたヨーロッパの漫画を紹介する雑誌もあり、少しずつチェックをしていきたいところ。ちなみにパリのヴァージン・メガストアの漫画コーナーは「バンド・デシネ」、「コミック(アメコミ)」、「マンガ(日本の漫画)」という風に分けられていたのもちょっと面白かったですね。フランス国内ではバンド・デシネはほとんど芸術扱いだと言いますが、CDなんかと一緒に売られたりしているのを見ると、ハイ・アートとポップ・カルチャーの境目ぐらいに位置づけられる感じなのでしょうか(『アフタヌーン』とか『アックス』とかの雰囲気なのかも)。
こちらはパリ旅行中に見つけた広告。日本の漫画ってホントに人気あるんだなあ……。
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