指揮=ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴスラファエル・フリューベック・デ・ブルゴスの指揮は、およそ1年半ぶりに聴きました。前半に自作のファンファーレとブラームスの合唱曲を、後半がベートーヴェン、とドイツ攻め。前回もブラームスの交響曲第3番、第1番のダブル・シンフォニーで定期演奏会の舞台に立っていましたから、ブラームスには相当の思い入れがある人なのでしょう。自作のファンファーレは、ブラームスの交響曲などから有名なメロディを切り出してきて繋ぎあわせ、それを金管とティンパニだけに演奏させる、というシロモノ。ティンパニとホルンはさておき、ブラームスの交響曲におけるトランペットとトロンボーンはかなり出番が少ないですから(しかし、とても重要な役割)、鬱憤ばらしをさせてやろう、というマエストロの配慮だったのか……しかし、まあ、アレです、そうですね……ホンモノのブラームスの交響曲のほうが……。
合唱=新国立劇場合唱団
フリューベック・デ・ブルゴス:ブラームス・ファンファーレ(日本初演)
ブラームス:悲歌 作品82
ブラームス:運命の女神の歌 作品89
ブラームス:運命の歌 作品54
ベートーヴェン:交響曲 第5番 ハ短調 作品67 「運命」
続く、ブラームスの合唱曲は、すみません、全然印象にない。最近、知らない曲を聴いていたりするとウトウトしてしまう頻度が高くなっており、かつて若かりし頃は唾棄すべき存在として認識していたタイプのクラシック・ファンになっている。なんということだ。
メインの《運命》は、これはもう円熟の演奏というほかないでしょう。アンサンブルがガチガチに揃った精度の高い演奏、ではなく、ピリオド奏法を取り入れた演奏、でもなく、超絶に遅かったり、爆演系でもない。たとえるならば、老舗の洋食屋さんのハンバーグ定食、というか……白いお皿のうえに、ハンバーグがあって、デミグラス・ソースがかけられていて、そこに海老フライとナポリタンが添えてある……みたいな定番感さえありました。ひとつも斬新な箇所がない。でも楽しく聴かせるんですよね。鉄板の上でジュージューいってるわけでも、神戸牛をつかってるわけでも、サイズが巨大なわけでもないんだけど「でも、これがウチのハンバーグだから! これで40年やってますから!」って出されて、ウマい、としか言えない、みたいな。演奏家の風格とか年季からくる「これがウチのベートーヴェンだから!」という自信がそういう音楽に仕上げるのか。とくに2楽章が良かったなあ。柔らかくて大きな音楽を鳴らしていました。編成は木管楽器が倍管でしたが、あれは4楽章用だったのかな。普通なら金管楽器が全面に押し出されるところが、木管もブ厚く響いている感じがして良かった。
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